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またしても毒舌炎上 張本勲氏とイチローの「本当の関係」

2017/12/14(木) 12:03配信

ITmedia ビジネスオンライン

 相変わらず毒舌が止まらない。TBS系列の報道番組『サンデーモーニング』のコーナー「週刊御意見番」で張本勲氏が自らの発言によって、またしても視聴者やネットユーザーたちから怒りを買ってしまった。

イチローをネタに、ちゃっかり商売も

 12月10日に放送された番組内での出来事だった。大方の予想に反し、日本ハムからロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイムへの電撃入団を決めた大谷翔平投手の二刀流継続について「あれぐらいのバッティング、アメリカに行ったら、もう吐いて捨てるほどおるよ。力あるしね、アメリカ(のメジャーリーガー)は」とコメント。

 もともと大谷に関しては投手としての力を評価し、打者との二刀流継続に異を唱えている張本氏は独特の言い回しで暗に“向こうだとキミの打撃は並以下になるから投げるほうに専念して一本化しなさい”と訴えていた。

 それにしても「吐いて捨てるほどおる」は、やっぱり言い過ぎだ。この人は本当にどこまで行っても常に「上から目線」で、そのひん曲がった性格は生涯変わることがないのであろう。

 ただ、この大谷の話題よりも張本節が際立ったのはイチローに関して自ら触れたときだった。シカゴ・カブスから自由契約となった上原浩治投手ら数人の日本人メジャーリーガーの去就が今オフ、未定となっていることについて司会の関口宏氏から「こういう状況を張さん、どうなんですか」と振られると「いやあ、もう(マイアミ・マーリンズとの契約が切れた)イチローが一番心配なんですけどね」と切り出すと、次のように続けた。

 「おそらく向こうで契約してくれなければ、日本(球界に復帰)という選択がありますよね」と言い、関口氏から「日本に戻るという?」と聞かれると「そうそう、そうそう。戻ってほしくないわね。もう」とコメントした。

●張本氏に批判の声が集中

 さすがの関口氏も、この発言には「えっ?」。しかし張本氏は「いや、やっぱりね。行ったり来たりね、芝居の幽霊じゃないのにね。(日本で)やってもらいたくない。荒らされますよ、日本プロ野球界が」と真顔でのたまった。

 案の定、ネット上ではこの模様を報じたニュース記事が大きな話題を呼んで炎上。「一体どんな思いで『荒らされる』という暴言を吐いたのか」「イチローをここまで嫌う理由が分からない」などと張本氏に批判の声が集中した。

 日米双方の球界で今やレジェンドとなっているイチローを「芝居の幽霊」扱いしただけでなく、日本球界復帰についても「荒らされる」という乱暴な言葉を用いながら反対する立場を明確に示したのだ。世の中から怒りを買ってしまうのも当然である。

 だが実を言えば、張本氏はイチローのことを嫌っているわけではない。事実、この番組内でも「イチロー(の去就)が一番心配」と自ら切り出している点は、張本氏が日本の誇るレジェンドに対しての思いを垣間見た重要なシーンであったと考える。

 その後に「戻ってほしくないわね」や「芝居の幽霊」「荒らされる」といった問題発言を重ねたことに関しても、もう1度これらの言葉を整理し直せば、張本氏がイチローに対して実は“どこも契約するところがないから日本にとりあえず帰ってプレーするのではなく、最後の最後までメジャーリーガーとして現役を全うしてほしい”という思いを抱く本音の裏返しであった可能性は極めて高い。

●「上から目線」を貫く張本流の言い回し

 乱暴な言葉を連発したことは確かに批判されて然るべきだ。だがこれも、よく考えてみれば常に「上から目線」を貫く張本流の独特の言い回し。とにかくいつも憎まれ口を叩く人なのだから、我々ももういちいち真に受けてカーッとなる必要はないのかもしれない。

 これだけ同番組内でイチローについて「上から目線」の姿勢を見せておきながらも張本氏は2009年に『イチロー論』(青志社)という著書を出版し、ちゃっかりと商売にまで手を出している。その著書の中では同年4月にイチローが張本氏自身の持っていた現役通算3085安打の日本記録を抜き去ったことを高く評価して褒め称え、「どうせならば今度はピート・ローズ氏の持つ通算4256安打のメジャー記録も更新してほしい」とまで密かにエールを送っていたほどだ。

 同年4月、記録更新時のタイミングを見計らいながら張本氏はTBSのクルーとともに米国へ渡って現地でシアトル・マリナーズ時代のイチロー本人と対面している。本拠地のセーフコ・フィールドで行われた4月15日のエンゼルス戦。ここで張本氏は威風堂々とするイチローの姿に驚かされ、それと同時にすっかり圧倒されてしまったそうだ。

 試合前チームの練習中、グラウンドでTBSの取材パスをぶら下げながら歩いていた張本氏の姿を見つけると、イチローは堂々としながら「これは、これは……。張さんじゃないですか」と自ら手を差し伸べ、がっちり握手。親と子ぐらいに年齢の離れている球界大物OBに対して臆することなく「張さん」と呼べる現役選手はきっとイチローぐらいしかいない。

 張本氏を前にしても平身低頭することなく胸を張っていたイチローはグラウンドでも堂々のプレーを見せた。7回一死満塁、この日の2安打目が右翼席のスタンドに飛び込むグランドスラム。このメモリアルアーチが張本氏の通算安打数に並ぶ日本タイ記録となった。翌16日のエンゼルス戦でも安打を放ち、ついに記録更新を成し遂げた。

●張本氏の口にチャックをしてもらう

 この2試合を生観戦した張本氏は周囲に対して「満塁ホームランというとてつもなくインパクトのある内容で記録に並び、私がアメリカに滞在した間のたった2試合で本当に記録を塗り替えてしまった。とんでもない男だ」と語りながら珍しく目を白黒させ、とても驚いていたという。

 「張本さんはイチローを認めていますよ。今の野球選手はほぼ大半が張本さんの存在感を煙たがってすぐ距離を置こうとするが、常に堂々としているイチローは面倒くさがることなく自然体で接していた。文句なしの実力と気持ちの強さ、堂々とした心の持ち主であってバランス感覚にも優れているイチローは張本さんにとって一種の『カルチャーショック』だったようです。

 だから今、張本さんがいろいろな問題発言を繰り返してもすべては単なる強がりでつまらない意地みたいなもの。それから張本さんは自分が暴言を吐けば、数字(視聴率)が稼げると思って、あえて『ヒール』を演じている部分もあると思います。でも内心で張本さんはイチローについて“もうとっくのとうに自分の域を超えているレジェンドプレーヤー”と思い込んで負けを認めていますよ。

 大勢の前では絶対に口にしないですが、実際にウラでは『ああいう骨のある男がこの時代、日本球界に出てきてくれてよかった』とも言っていますしね」(張本氏周辺のプロ野球OB)

 何かと口うるさい張本氏からも毒舌とは裏腹に一目置かれているイチローはやはり特別な存在だ。「戻ってほしくない」と言われるまでもなく、本人も日本球界復帰はまったく考えていないだろう。去就決定は年明けとなる公算は強いが、やはりメジャーリーグでプロ27年目のシーズンを迎え、もう一花咲かせてほしい。そして45歳となる来年も常識を覆す活躍で、うるさい張本氏の口にチャックをしてもらうことを強く望む。

(臼北信行)