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<北朝鮮内部>制裁で輸出絶たれたはずのイカ漁に木造船殺到なぜ?(写真3枚)

2017/12/18(月) 2:43配信

アジアプレス・ネットワーク

北朝鮮からのものと思われる木造漁船の日本海沿岸への漂着が続いている。バラバラになってしまった船も多いが、原型を留めている船には、中央にやぐらのような、物干し台のような構造物が見える。

【写真14枚】北朝鮮のイカ漁船が海上保安庁の巡視船に放水されている など

6-7月のイカ漁最盛期。北朝鮮の漁船が大挙して日本の排他的経済水域(EEZ)の好漁場の大和碓(たい)付近に入り込んで違法操業していた。

海上保安庁が7月に撮影した写真を見ると、同様の構造物を設置した木造船がたくさんある。獲ったイカを干している船の映像もあった。

日本海に漂着した船からはイカ釣り用の針も見つかっている。11月に入って急増した漂着船は、9-10月の秋シーズンに、貧弱な装備の木造船で無理をして日本近海までやって来たイカ漁船だと考えるべきだろう。

良質のイカは主に中国に輸出される。海産物は北朝鮮の2016年の輸出額3位、200億円程度に上るとみられる。イカもその一翼を担う貴重な外貨稼ぎ源なのだ。

しかし解せないのは、北朝鮮は8月の国連安保理決議で海産物の輸出を全面禁じられており、イカでの外貨獲得は不可能なはずだ。油代など原価のかかるイカ漁は元が取れるのだろうか?

◆スルメの国内消費と密輸狙う?

清津市の漁業者からスルメを買い付けて水産会社に卸している北朝鮮の住民に、12月初旬に話を聞いた。

「スルメが金になるんです。シーズンには大勢参入して来る。今年は品薄で上物は1キロが75中国元(約1275円)、中間品は35-40元(約595-680円)、小さいものは25-30元(約425-510円)くらいで清津の水産会社が引き取り、コンテナで運んでいく。以前はいいものは全部中国に行って、国内の市場には手の平くらいの小さい物しか出回らなかったけれど、(今は)国内市場で高級品も売っている」

国内でさばいて制裁のダメージを吸収しようということなのか。最近平壌から中国に出国してきたビジネス関係者は「最近、平壌の市場では、今まで見られなかったエビ、カニ、タコなどが売られるようになった」と述べた。中国で北朝鮮産として人気を博してきた海産物が市場に出回っているというのだ。

今月中旬、北部両江道の恵山(ヘサン)で、取材協力者に海産物の販売状況を調べてもらった。
「市場には海産物がたくさん出回っている。価格は、カレイ小が11元(約187円)、カレイ大は16元(約272円)、マス7元(約119円)、スルメ中間品38元(646円)、冷凍ハタハタが安くて1.8元(約31円)。庶民も買って食べている」(価格は1キロ当たり)

咸鏡北道の取材協力者もほぼ同様の報告を伝えてきた。海産物が市場に目に見えて増えたというのである。一方でスルメの中国への密輸が増えることを予想する人もいる。両江道の取材協力者は言う。

「スルメは保存がきくし軽いし値もいいので密輸にうってつけ。正規の輸出ができないので、中国人の旧正月需要に合わせて密輸を狙っているのではないか」(石丸次郎 カン・ジウォン)

←(参考写真)路上で粗末なスルメが売られている。2008年12月平壌の寺洞区域にて撮影リ・ソンヒ(アジアプレス)