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商用車も「電動化」の波 コスト要求に苦悩するメーカー

2017/12/24(日) 12:02配信

日刊工業新聞電子版

■三菱ふそう「eキャンター」、日米欧市場に

 環境規制の強化により、自家用車を中心とした電動化の流れが商用車にも広がってきた。三菱ふそうトラック・バスは10月に世界初となる量産型の小型電気トラックの供給を開始。いすゞ自動車も2018年にモニターでの投入を予定する。だが、働く車であるトラックなどの商用車は、ユーザーにとって「道具」の一つ。コスト要求も厳しく、商用車メーカーの頭を悩ませている。

 11月、企業家のイーロン・マスク氏率いる米テスラが電動トラック「テスラ セミ」を19年に市場投入するとのニュースが世界を駆け巡った。近未来的デザインのセミは航続距離480キロメートルタイプと800キロメートルタイプがあり、最大総重量は約36トン、専用充電器で30分でフル充電できる。

 すでに米清涼飲料・スナック菓子大手のペプシコや世界最大の小売り業者である米ウォルマート、物流大手の米UPS、ビール世界最大手の米アンハイザー・ブッシュ・インベブなど名だたる企業が購入を決め、事前予約は1200台を超えたとのアナリストの見方もある。

 国家戦略で電気自動車(EV)シフトを進める中国でも、大手EVメーカーの比亜迪(BYD)が、モロッコで乗用車のEVやEVトラックなどを生産する工場を新設しており、自家用車に続いて商用車の電動化が進み始めている。

 日本の商用車メーカーで、いち早くトラックの電動化にかじを切ったのが三菱ふそうだ。10月に小型電気トラック「eキャンター」の供給をはじめ、18年上期までに日米欧市場に150台を投入する。国内市場ではセブン―イレブン・ジャパン、ヤマト運輸がそれぞれ25台の採用を決めた。10月には電気商用車ブランド「E―FUSO」を新設し、大型電気トラックのコンセプトモデル「Vision ONE」を公開するなど、電動化の流れを加速している。

■量産前提の投入、決断迫られるメーカー

 もちろん、他の商用車メーカーも車両の電動化への準備を怠ってはいない。いすゞ自動車は、10月の東京モーターショーに参考出品した小型電気トラック「エルフEV」を、18年にモニター販売で市場投入する予定。

 日野自動車はトヨタ自動車とマツダ、デンソーが設立したEVの基本技術を共同開発する新会社への合流を「前向きに検討する」(下義生社長)としており、小型トラックでの電動化を進める方向だ。UDトラックスも、親会社のスウェーデン・ボルボと連携して、都市内輸送を想定した電動車両の開発を進める。

 「我々も(電動化への)準備をしなければばらない」。商用車部品を扱うメーカー幹部は、トラックの電動化の流れに危機感を募らせる。だが、ある商用車メーカー幹部は「量が出ないと、コスト高になる。量産を前提とした車両投入の判断は難しい」と話す。いすゞの片山正則社長も、「トラックに求められるものは、経済合理性と使い勝手の良さ」と語り、コストバランスの重要性を指摘する。

 現実に各社が販売するディーゼルハイブリッド車(HV)などの環境対応車両の販売は大きく伸びていない。05年からいすゞが販売している小型トラック「エルフ」HVの販売は、14年度が327台、15年度が336台、16年度が474台となっている。日野自が11年から販売する小型トラック「デュトロ」HVは近年、年間約560台で推移しており、横ばいの傾向が続いている。

 三菱ふそうやUDトラックスも小型トラックでHVを販売しているが、思うように増えてはいない。UDトラックの小型トラック「カゼット」HVの販売台数は「ごくわずか」(UDトラックス)という。HVは通常のディーゼルエンジン専用車と比べて、車両価格が高くなる。「小型トラックは、個人ユーザーが比較的多いため、価格に敏感なのではないか」と指摘する声もある。

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最終更新:2017/12/24(日) 12:02
日刊工業新聞電子版