ここから本文です

留学生殺害犯に“懲役20年判決“ 中国で非難の声、死刑求め署名集めた母親の思いは

2017/12/26(火) 16:30配信

AbemaTIMES

(C)AbemaTV

 昨年11月、東京・中野区のアパートで発生した中国人留学生殺害事件。当時、都内私立大学の大学院生だった江歌さんを殺害したとして逮捕された陳世峰被告は、江さんと同居していた女性の元交際相手だった。判決によると、陳被告は女性に復縁を迫った上、脅迫メッセージやアルバイト先まで後をつけるなどの行為をしており、事件発生時も女性が帰宅するのを待ち伏せし、犯行に及んだ。女性は先に部屋に入ったため無事だったが、一緒にいた江さんが狙われ、ナイフで少なくとも10回以上刺したのだ。

 陳被告のストーカー的な行動を心配し、女性に寄り添っていた江さん。事件当日も、正義感が強い江さんが女性を庇う格好になり、もみ合いになった末、刺されてしまったのだという。

12月20に開かれた判決公判で、東京地裁は「犯行は危険極まりないもので、殺意が非常に強固だった」「真摯な反省の情は全く認められない」と異例の主文後回しで陳被告を指弾。検察側の求刑20年に対し、求刑通りの判決を言い渡した。

 この事件について、日本では発生当時こそ報じられたものの、その後はあまり多く報じられることはなく、判決についても、例えば朝日新聞は翌日の朝刊に280字あまりの記事を載せただけだった。その一方、中国では連日のようにトップニュースで扱われてきた。この日も東京地裁前には関心の高さを物語るように、多くの中国メディアが集まっていた。

 この“温度差“の背景には、日本と中国の「死刑」に対する価値観の違いがあった。25日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、江さんの母親・江秋蓮さんをスタジオに招き、この問題を議論した。

■中国SNSには「刑が軽すぎる」との書き込みも

 「日本で成功して、母親の生活を助けたい」と話していたという江さん。陳被告の逮捕直後、秋蓮さんは一人娘を突然襲った悲劇に「彼に死刑を与えられるのなら、自分の命をかけてもいいと思う。娘のために償ってくれるのなら私は何でもやりたい」「こんなにいい子が、まだ幸せな生活が始まっていないまま去った。私の生きていく希望まで奪っていった」と語っていた。

 そんな秋蓮さんは11月に来日、池袋で陳被告への死刑を求める署名活動を行った。多くの中国メディアがその様子を報じ、香港フェニックステレビは、死刑を求めるオンライン署名が約450万人分も集まったと伝えている。

 しかし、日本の司法が下した判断は、求刑通りとはいえ、懲役刑だった。裁判を傍聴したジャーナリストの野嶋剛氏は、「検察の求刑そのままの判決が出ないケースもかなり多い。私の印象では、裁判所としても厳しい態度で陳被告の行為を非難する、そういう意味合いがこの判決には込められていると感じた」と振り返る。しかし秋蓮さんは、この判決に「納得できない」と話す。

 今回の判決について、中国中央テレビのウェブ版は特集を組み、裁判所が権力から独立していることなど、日本の司法制度について解説。「人を殺したら命で償うのが当たり前」という中国のことわざを紹介しつつ、「日本には被害者の人数や残虐性、動機など厳しい基準があり、たとえ死刑判決が出てもすぐには執行されず、何度も上訴できる」と伝えた。また、環球時報ウェブ版は、SNSに「刑が軽すぎる」などの書き込みが殺到、中には「世界中の人が日本に行って殺人をするよう勧めている判決」という意見もあったと報じた。

1/2ページ

最終更新:2017/12/27(水) 18:12
AbemaTIMES