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精神障害のマル福拡大を ハードル高い受給条件

2017/12/27(水) 4:00配信

茨城新聞クロスアイ

精神障害者が医療福祉費支給制度(マル福)の恩恵から取り残されている。身体障害者と知的障害者は障害者手帳を取得していればマル福が適用になり自己負担がなくなるのに対し、精神障害者に限っては障害年金1級の受給が条件になり、ハードルが高いためだ。精神障害者の家族会はマル福の適用を広げるよう声を上げ始めた。(報道部・成田愛)

水戸市の無職、40代女性は70代の両親と3人暮らし。20代のころ統合失調症を発症し、入院していた時期もある。障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を取得し、障害年金2級を受給する。仕事に就けずに、一家の生活は主に父親の年金が頼りだ。

月々通院治療などで支払う医療費は約1万円。父親の年金頼りの家計への負担は小さくない。

精神障害者の場合は定期的な通院受診と薬の日常的な服用が欠かせない。ほぼ一生の付き合いとなるケースも多い。また精神科の薬の長期服用による肥満や長期の便秘などの治療に定期通院する人も珍しくない。

女性の父親は「精神障害者の医療費についてもマル福が受けられると助かるのですが…」とため息をついた。

■年金1級が要件

マル福は子どもや妊産婦、母子家庭などを対象にした医療費(外来・入院)の助成制度。市町村が実施し、県と費用を分担する。障害者の場合、マル福が適用になると、外来・入院の医療費の自己負担がなくなる。

障害者のマル福は身体・知的障害者と、精神障害者では適用要件が異なる。身体障害者の場合は障害者1級・障害者2級の手帳があれば適用になり、知的障害者の場合もほぼ一定以上の手帳の重度認定があれば適用になる。これに対し、精神障害者の場合は障害者手帳の等級ではなく、障害年金1級の受給が要件になっている。

本県家族会の推計によると、マル福適用は身体障害者の場合、全体の約47・8%(約4万4000人)、知的障害者は全体の約30・9%(約6560人)を占めるのに対し、精神障害者は全体の16・8%(約2650人)にとどまる(2016年3月末)。

関係者によると、精神障害で障害年金を受給している人は身体障害者、知的障害者に比べて少ない。もともと先天性の障害でない上、障害年金の受給を申請するには障害の認定日が必要だが、(1)初診証明が取りにくい(2)20歳から初診日までの年金が納付されていない-などがネックになっているとされる。特に思春期の発症の場合は家族や本人が見過ごしたり通院をためらうまま歳月が経過し、初診証明が困難になるという。

■奈良県は適用拡大

精神障害者のマル福に限っては、全国的に本県と同様の対応。だが近年は精神障害者のマル福適用を広げる動きも出ている。奈良県は17年度から全市町村で障害者手帳1、2級の取得でマル福を適用。自己負担の上限を通院500円、入院1000円とし、県と市町村で残りの医療費を負担している。

茨城新聞社

最終更新:2017/12/27(水) 10:10
茨城新聞クロスアイ