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「日テレ版ドラえもん」が幻となった理由は? 再放送が中止されてから38年

2017/12/30(土) 12:45配信

ハフポスト日本版

国民的なアニメ『ドラえもん』には、全く再放送されない幻のバージョンがある。

それが、1973年に日本テレビ系で全国放送されていた、通称「日テレ版ドラえもん」だ。視聴率は振るわず、わずか半年で終了した。

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その6年後、現在まで続くテレビ朝日系での放送が始まるのとほぼ同時に、「日テレ版」の再放送は一切なくなった。最後の再放送は1979年8月3日の富山テレビだ。

それから38年......。「日テレ版」は、ビデオやDVD、ブルーレイなどのメディア収録されることもなく、『ドラえもん』の関連書籍でも触れられることの少ない「幻のテレビ番組」だ。どんな作品なのか。(安藤健二 / ハフポスト日本版)

制作スタッフが幻の映像を秘蔵していた

「ひどい作品と言われることもありますが、そんなことはありません」

そう言って、東京郊外で初老の男性がDVDプレイヤーを起動した。液晶テレビからは、今のテレビ朝日版とは全く違う『ドラえもん』のオープニング映像が流れた。「ぼくのドラえもんがまちを歩けば、みんなみんなが振り返るよ」と、演歌のような女性ボーカル。それに合わせて、ドラえもんとのび太が「ヘリトンボ」で飛んでいく。

ここは、東京の郊外にある下崎闊(しもさき・ひろし)さんの自宅だ。虫プロダクションで手塚治虫の秘書をした後、日本テレビ動画というアニメ会社で「日テレ版」の制作主任として、発注やスケジュール管理を取り仕切っていた。

下崎さんは「日テレ版」のフィルムを会社から購入して、自宅に秘蔵していたという。そのフィルムを保存用にDVD化したものを2017年11月、個人的に見せてもらった。

ドラえもんの声は、「平成天才バカボン」のパパから「ドラゴンボール」の悟空に代わる

日テレ版は、現在のテレ朝版とはテイストがかなり違う。のび太は悪ガキっぽいし、ドラえもんは間が抜けている。ドタバタギャグだ。

視聴率低迷のテコ入れのためか、第1クール(1~13回)と第2クール(14~26回)でドラえもんの声優が男性から女性に代わっているのが特徴だ。前半は『平成天才バカボン』の「バカボンのパパ」を手がけた富田耕生。2クール目からは後に『ドラゴンボール』の孫悟空の声で親しまれる野沢雅子に声が変わり、ボーイッシュで元気なキャラになった。

ジャイアンは体格が良くて力持ちだが、ガキ大将っぽくはない。むしろ、裕福な家に住んで威勢がいいスネ夫が、子供たちの間で威張り散らしていた。さらにジャイアンの声を担当しているのは、テレ朝版でスネ夫を担当した肝付兼太のため、注意してみていないと、どっちがどっちの台詞なのか混乱してしまうことが必至だ。

ジャイアンの母親は故人となっているほか、ヒロインのしずかちゃんの家には、お手伝いの「ボタ子」というキャラクターがいる。第2クールでは「ドラえもん」を追いかけて、未来の世界から「ガチャ子」という鳥型ロボットがやって来るなど、テレ朝版とは異なる設定が多い。

約1時間かけて、声が入っている計6話を観賞した結果、「これはこれで味があるな」と思った。今のドラえもんとは少し設定が違うパラレルワールドだが、独特の雰囲気があった。封印されて、黒歴史として扱われているのはもったいない気がした。

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最終更新:2017/12/30(土) 15:27
ハフポスト日本版