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腸の難病「炎症性腸疾患」学校で配慮を 患者会が教員用ガイド本

1/4(木) 9:45配信

佐賀新聞

 難病に指定されている潰瘍性大腸炎やクローン病など「炎症性腸疾患」(IBD)の患者会が、教職員向けのガイドブックを作成した。学校現場で病気への理解が深まらず、高校を退学せざるを得なかった子どもがいたためで、教室の座席位置への心配りに加え、トイレや保健室などの施設使用で必要な配慮を具体的に記述した。対応に戸惑う学校に患者の声を届ける機会になればと期待している。

 佐賀県や関西の複数の患者会を中心に「潰瘍性大腸炎」「クローン病」の2種類の冊子作りに共同で取り組んだ。きっかけは、佐賀県内の高校に通う生徒が「体調悪化に備え、座席を出入り口付近に」「疲れやすいため保健室で休めるようにしてほしい」などの要望を学校に伝えたが、「高校は義務教育ではない」と拒まれたことだった。生徒は自主退学した。

 潰瘍性大腸炎は20代、クローン病は10代後半が発症のピークで、治療と学業の両立が課題の一つになっている。

 クローン病に関して冊子では、一日のうちでも体調の変化があり、急に腹痛が起きたり発熱したりすることを紹介している。場合によってはトイレの回数が多くなるため「教室の出入り口に近い場所に座席を配置する」、腹痛が治まるまでトイレの使用時間が長くなるケースもあるため「職員用トイレの使用許可を」など学校全体で取り組んでほしいことを記した。

 どこまで病状を伝えるかや、説明の仕方に悩む保護者も多い。食事制限の有無や体育の授業の希望などを書き込み、学校に提出できるシートも作った。

 編集に関わった佐賀IBD縁笑会副代表の秀島晴美さん(55)=唐津市=は、2016年施行の障害者差別解消法で求められる当事者への合理的配慮にも触れながら「配慮を得られず学業を諦めざるを得ない状況は、佐賀だけではなく全国の問題」と指摘する。「病気や障害がある子どもたちも、等しく教育を受ける権利がある。配慮と言っても何をしていいか戸惑う学校現場に声が届くきっかけになれば」と願う。

 17年初めに完成した「潰瘍性大腸炎」のガイドブックは、県立高校の校長会で配った。ただ、県内のある市教委に配布を依頼したところ「NPO法人が作成したものは配布できない」と断られたため、IBDネットワークのウェブサイトからダウンロードできるようにしている。問い合わせは地域活動支援センター「難病サポートあゆむ」、電話0952(32)0670。

最終更新:1/4(木) 9:45
佐賀新聞