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2018年の宇宙ビジネスはこう動く!

1/8(月) 8:34配信

ITmedia ビジネスオンライン

 読者の皆さん、新年明けましておめでとうございます。

 年々規模が拡大している世界の宇宙ビジネス市場だが、2018年も国内外の最新情報を本連載で真っ先にお届けしたいと思う。

総額100億円以上の資金調達に成功したispace

 この年末年始も宇宙関連のビッグニュースが続いているのをご存じの方も多いだろう。17年12月には日本を代表する宇宙ベンチャー企業、ispaceが100億円を超える資金調達を発表。米国ではトランプ大統領が約40年ぶりとなる有人月探査ミッションを指示する文書に署名した。今回は、ますます勢いが増す宇宙ビジネス業界の18年を展望したい。

●有人月面探査に予算はつくか?

 昨年12月11日に米国のトランプ大統領は、10年に策定された国家宇宙政策を改訂する大統領政策指令に署名した。具体的には、米国が月への有人飛行再開を主導し、その後、火星およびその他の目的地に有人ミッションを行うことが記載されている。この一件はトランプ政権として有人月探査ミッションを認めたと言える。

 これを受けてNASA(米航空宇宙局)は19年度予算に大統領政策指令を反映する作業を行っており、2月には予算案が発表される予定だ。既にNASAは月周回軌道上に、より遠い宇宙へ行くための中継基地となる「Deep Space Gateway」構想を公表しており、実際の予算にどのように反映されるか注目だ。

 こうした背景の中、今年3月には第2回国際宇宙探査フォーラム(通称:ISEF2)が東京で開催され、政府レベルでの対話や意見交換もなされる。合わせてその内容にも注目したい。

●月面無人探査レースXPRIZEの勝者は誰か?

 07年9月に発表され、IT大手の米Googleがスポンサードすることで注目を集めてきた国際的な月面無人探査レース「Google Lunar XPRIZE」。このミッション達成の最終期限がついに今年3月末に迫っている。既にファイナリストは5チームに絞られており、各チームから打ち上げロケットの契約も発表されているが、打ち上げ日の詳細は現時点で公表されていない。

 日本から唯一参加しているチーム「HAKUTO」は、母体となるispaceが昨年12月13日に産業革新機構、日本政策投資銀行、東京放送ホールディングスなどからの大型資金調達を発表し、XPRIZE後のビジネスプランを公表した。また同19日には開発したローバー「SORATO」を打ち上げ地のインドに向けて輸送しており、後は打ち上げを待つばかりだ。

●超大型ロケット「ファルコンヘビー」の打ち上げは?

 世界的な宇宙ベンチャー企業の存在感は18年も健在だ。

 国際宇宙ステーションへの物資輸送を大型ロケット「ファルコン9」と宇宙船「ドラゴン」で行った米SpaceXが開発を進めてきた超大型ロケット「ファルコンヘビー」の初打ち上げが1月末に予定されている。同ロケットは、将来的な有人輸送も視野に入っており、同じく大型ロケットの代表格と言える「デルタ4ヘビー」の2倍以上の打ち上げ能力を3分の1の低コストで実現すると同社は語る。

 その第1段ブースターにはファルコン9のエンジンコアが3つ使われており、計27個のマーリンエンジンより構成される。既にファルコン9では打ち上げ後の第1段ブースターの着陸と再利用に成功している同社だが、ファルコンヘビーでも3つの第1段ブースターをすべて地上に着陸させて再利用する予定だ。今回の初打ち上げが成功するか見守りたい。

●小型ロケットの開発、抜け出すのは?

 小型衛星専用の打ち上げロケットとして期待される小型ロケットは、新世代小型ロケット開発企画株式会社(キヤノン電子、IHIエアロスペース、清水建設、日本政策投資銀行によるジョイントベンチャー)、堀江貴文氏が創業したインターステラテクノロジズの日本勢に加えて、米Rocket Lab、米Virgin Orbit、米Vector spaceなど世界で5~6社がしのぎを削って開発を続けている。

 今年前半は実証実験が目白押しだ。昨年末に予定されていたJAXAのSS-520 5号機による超小型衛星打ち上げ実証実験は今年に延期されており、インターステラテクノロジズも観測ロケットMOMO2号機の実証実験を昨年に続いて計画する。海外勢ではRocket Labも昨年末予定されていた実証実験を今年に延期した。

●宇宙旅行のための有人テスト飛行は行われるか?

 人類の夢である宇宙旅行が、また一歩前進する。

 高度約100キロメートル地点であるサブオービタルまでの宇宙旅行サービスの実現にまい進する、ジェフ・ベゾス氏率いる米Blue Originは、昨年12月12日に小型ロケット「ニューシェパード」および宇宙船「クルーカプセル2.0」の飛行試験に成功した。カプセルは最高高度98キロメートルまで上昇した後にパラシュートを展開して着地した。

 同カプセルには商業、研究、教育用途を目的としたペイロード(積載物)も搭載していたという。Blue Originは18年にも初の有人飛行ミッションを計画しており、期待が高まる。ただし、同社はかつて17年中に初の有人テスト飛行を行うと発表していたこともあり、今回もスケジュール通りに進むかどうかはまだ未確定だ。いずれにせよ商用サービスに向けた大きな節目と言える有人テスト飛行の実施に注目だ。

●宇宙空間の居住スペースの基礎技術開発が進む?

 将来的な商業宇宙ホテル建設を目指す米Bigelow Aerospaceは、16年から同社が開発した膨張式の居住モジュールを国際宇宙ステーションに設置して、さまざまな実証データの取得を行ってきた。昨年12月5日にNASAは同モジュールの設置期間を今後3年間延長することを発表、居住モジュールの性能に関する追加データ取得や新たな技術実証が行われる予定だ。

 またNASAは、将来的により遠い宇宙探査を行うにあたり、地球以外の天体において現地の材料やミッションに使用される材料を再利用することで、居住モジュールを製作するための3Dプリンティング技術開発を以前から進めている。18年前半から居住モジュールの縮小モデルを製作するためのフェーズ3が始まる予定だ。

●メガコンステレーションの配備はどこまで進むか?

 SpaceX、米OneWeb、米Boeingなどが計画を発表している数百機から数千機の低軌道小型衛星による地球規模のブロードバンドインフラ構築プロジェクトも、衛星配備へと移行しつつある。特に、通信大手ソフトバンクが既に15億ドルを投資したOneWebは今年最初の衛星打ち上げを控えており、19年以降にサービス提供を計画している。

 他方、ルクセンブルクに本社を構える衛星通信大手SESは既に静止軌道に配備された50機の衛星に加えて、中軌道にも12機の衛星を運用している。同社は将来的にO3b mPOWERと次世代衛星を打ち上げる予定だ。こうした新たな通信コンステレーションがどのような顧客や用途に活用されていくのかにも注目だ。

●小型レーダー衛星開発に誰が先鞭をつけるか?

 昨今話題を集める小型衛星分野では、これまで光学衛星がメインだったが、近年は小型レーダー衛星への関心が高い。カメラを用いて写真や動画を撮影する光学衛星とは違い、夜間も悪天候も関係なしに観測可能なのがレーダー衛星の特徴だ。他方、レーダー衛星の小型化は難易度が高く、アンテナ、電気系、熱系、通信系、制御系などの総合力が問われる。

 日本では九州に拠点を構えるベンチャー企業QPS研究所が昨年23.5億円の資金調達に成功、また内閣府の科学技術政策である革新的研究開発推進プログラム(通称:ImPACT)でも小型レーダー衛星の開発が着実に進んでいる。

 海外でも、米Capella spaceとフィンランドのICEYEが小型レーダー衛星の開発を進めており、両社は18年前半に最初の打ち上げを予定している。技術的難易度の高い衛星開発に果たして誰が先鞭をつけるのか。

 このように、18年も宇宙ビジネスのさまざまな領域で進展があることは間違いない。もはや宇宙は非日常的な存在ではなく、われわれのすぐ身近なところにあるのだ。もしかしたら今年、読者の皆さんが勤める企業でも宇宙ビジネスにかかわる機会が訪れるかもしれない。

(石田真康)