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離婚後の面会交流に新プログラム 横浜の企業

1/8(月) 19:54配信

カナロコ by 神奈川新聞

 離婚後に、子どもと同居していない親が子どもと会い、一定時間を過ごす面会交流。音楽や語学などのワークショップに専門職らが同席することで安心して臨めるプログラムを、女性の自立支援事業を手掛ける企業「ボヌール」(横浜市中区)が始めた。参加家族の安全と、離れて暮らしている親子の絆づくりを両立させた内容に注目が集まる。

 プログラムは、ワークショップ型面会交流支援「ボヌールシップ」として昨年12月に始めた。考案したのは、同社代表取締役のナカヤタエさん。自身もシングルマザーで、2人の子どもを育てている。離婚時にさまざまな手続きや情報収集に苦労した経験から、結婚生活に悩む女性を支援しようと2016年に起業した。

 11年の民法改正で、面会交流は離婚時の子どもの監護に関する取り決め事項として明記された。その一方で、面会交流で子どもが連れ去られたり、ドメスティックバイオレンス(DV)が原因で離婚した相手と顔を合わせてしまう危険性もある。付き添いをする第三者機関もあるが、利用料が高額だ。また、別居している親が子どもの対応に戸惑うことも少なくない。

 面会交流の調整がうまく進まないケースもあるが、離婚しても子どもの親であることに変わりない。「この事業は、安全に面会交流することはもちろん、別居の親との絆を切らないことも目的にしている」とナカヤさん。親の不安や悩みを洗い出し、専門家の意見も取り入れて内容を練った。

 ボヌールシップの面会交流は毎月第4日曜日に、保育園で行う。別居する親と子どもは、体を動かす遊びや工作などを楽しむ。保育士らが同席して手助けするため、育児に関わっていない親もすんなり交流に入れる。食事やおむつ換えなどの世話を通じ、子どもの成長や普段の様子も実感できる。交流前と終了後にはカウンセラーらが聞き取りを行い、別居する親の心をサポートする。

 同居する親は、聞き取りの時間帯に子どもの受け渡しをするため、離婚した相手と直接顔を合わせる必要がない。また、バッグなどは交流する部屋とは異なる場所で保管。撮影・録音は禁止するなど、安全面も配慮している。

 昨年12月に、認可外保育所「こどもの森ほいく舎」(同市西区、石尾ひとみ代表)で行われたプログラムには親子4組が参加。2歳から小学6年生の子どもと父親が、英語ヨガで体を動かし、バイオリンの演奏に聞き入った。参加した親からは「子どもが薄味の料理をたくさん食べ、意外だと驚いた」などの声が寄せられたという。

 子どもを預けた側からも好評だ。埼玉県の女性(36)は、2歳の娘が元夫(36)と参加した。離婚後も関係は良好だが、「面会交流したいと急に連絡が来るので、場所や何をするかを決めるのが大変だった」。元夫と娘が2人だけで過ごすことにも不安があり、事業を利用した。「子どもも父親に会えてうれしそうだった。愛してくれる人が多いことは子どもにもいいし、父親のことも好きでいてほしい。また利用してみたい」という。

 利用者の姿に、「交流だけでなく、子どもについての学びの場にもなっていた」とナカヤさん。「別居していても、育児に参加できる場になればいい。事業を通じて離婚後の親子の成長を見守り、サポートしていきたい」と話す。

 ボヌールシップは1組9800円から。今月から年間利用も受け付ける。問い合わせは、ボヌールのメール(info@la-bonheur.co.jp)。