ここから本文です

<夫婦別姓提訴>「旧姓に法的根拠を」サイボウズ社長ら4人

1/9(火) 21:14配信

毎日新聞

 結婚後に夫婦が同じ姓になるか、それぞれの姓を名乗り続けるかを選べる「選択的夫婦別姓制度」を求め、青野慶久・サイボウズ社長(46)ら男女4人が9日、国を相手取って東京地裁に提訴した。記者会見で青野さんは「旧姓に法的根拠を与えてほしいだけ。それだけでかなりの人が救われる」と強調した。

 訴状によると、青野さんは2001年、結婚に伴って妻の姓「西端」に改姓。銀行口座や運転免許、パスポートなど、さまざまな手続きが必要となったほか、所有していた株式の名義書き換えに約81万円を要した。青野さんら原告の男女4人は今回、法の欠陥が原因で精神的苦痛を受けたとして国に各55万円の損害賠償を請求。夫婦別姓についての規定を欠く戸籍法は、結婚に関する法律が「個人の尊厳と両性の本質的平等」に立脚すると定めた憲法24条に違反していると主張する。

 最高裁は15年12月、民法の夫婦同姓規定を「合憲」と判断した。青野さんは会見で「2年前、違憲判決が出なくて残念な思いをした。この問題について苦しい思いや悔しい思い、積み上げられてきた思いが今回の訴訟につながっている」と述べた。

 訴訟に先立ち、1月4日に署名サイト「Change.org」で選択的夫婦別姓制度の実現を求める署名活動(目標2万人)がスタートし、わずか5日間で1万8000人を突破。青野さんは「想像を上回る勢いで集まっている。ぜひこの署名をたくさん集めて、世論形成に役立てたい」と力を込めた。【坂根真理】

 ◇「改姓で苦悩」男性も

 96%の夫婦が結婚時に夫の姓を名乗る日本。改姓に伴い不利益を被る人の大部分が女性であるため、選択的夫婦別姓は「女性問題」のように扱われることが多かった。だが、青野さんが一石を投じたことで、男女の別なく困っている人がいる現実が浮かんだ。

 昨年末に東京都内で開かれた選択的夫婦別姓を求めるフォーラムでは、参加者の半数が男性だった。参加した私立中高校非常勤講師の吉田尚史さん(33)は、青野さんと同様に妻の姓に変えた少数派。義母が提示した「結婚の条件」が、「娘の氏を名乗ること」だったからだ。条件をのんだものの、子供の頃からの愛着ある姓でない名前で呼ばれることに苦痛を感じ、夫婦げんかが増えたという。15年、同姓しか選べない現状を最高裁が「合憲」と判断した絶望的な判決を機に、ペーパー離婚して事実婚となった。

 夫婦別姓にすると家族の絆や一体感が薄れると主張する人もいる中、吉田さんは「僕は同姓にしたことで妻と決定的な溝ができ、絆も一体感も失いかけた」と振り返る。青野さんは「この訴訟は一律を求める日本人の価値観が多様性を尊重する方向にシフトするかどうかが問われる大事な裁判だ」と語気を強めた。【坂根真理】

最終更新:1/9(火) 23:02
毎日新聞