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カヌートップ選手が前代未聞不祥事 薬物混入…良心の呵責に耐えかね“自白”

1/10(水) 5:07配信

デイリースポーツ

 日本カヌー連盟は9日、昨年9月のスプリント日本選手権(石川県小松市)に出場した鈴木康大(32)=福島県協会=が、大会中にライバルの小松正治(25)=愛媛県協会=の飲み物に禁止薬物の筋肉増強剤メタンジエノンを混入させ、小松がドーピング検査で陽性になったと発表した。日本アンチ・ドーピング機構は鈴木に8年間の資格停止処分を科し、暫定資格停止となっていた小松の処分を解除。日本連盟は鈴木に対して、定款上、最も重い除名処分を理事会、総会に提案することを明らかにした。

 東京五輪まであと2年半となる中、日本で前代未聞のドーピングスキャンダルが起こった。10年アジア大会銅メダリストでもあるカヌーのトップ選手が、ライバルのドリンクボトルに禁止薬物を“盛り”、ドーピング違反に追いやるというドラマのようなショッキングな出来事が発覚。他者からの混入によるドーピング違反発覚は国内初で、衝撃が走った。

 “動機”は東京五輪に向けてのゆがんだ思いからだった。鈴木は連盟の調査に「ライバルの記録が伸びており、東京五輪出場が危うくなっていた。陥れようと思った」と、東京五輪の代表入りを争う若手の台頭に焦りがあったことを告白した。

 禁止物質を含むサプリメントの錠剤は、昨年8月中旬の海外遠征中にインターネット通販で購入。日本選手権のレース前、艇の保管場所付近に置いてあった小松のドリンクボトルに、同選手が離れていた隙に砕いておいた錠剤を投入した。

 その後、小松が検査で陽性となり、暫定的資格停止処分を受けたことを聞いた。鈴木は良心の呵責(かしゃく)に耐えかね、昨年11月20日に連盟に電話で“自白”。「私自身、大変弱い人間でした。無実の小松正治をこのままにしておけない。日本がアンチ・ドーピングに進んでいる中、カヌーはやっていると思われたくない」と、行為を認めたという。

 連盟によると、10年ごろから国内大会や日本代表の海外遠征中にパドルの破損や紛失、現金の盗難などが度々発生。鈴木は一部への関与を認め、小松以外への妨害行為も証言した。3人とは示談が成立しているが、小松は禁止薬物混入のほか、競技で使用する道具を盗まれたとする被害届を石川県警に受理されており、捜査中となっている。

 連盟の春園事務局長によれば、表面上2人の関係は良好で「陽性反応が出て、小松が真っ先に連絡したのは鈴木。それぐらい仲がよかった」と、信頼関係があったことを明かした。それだけに予期も防御策も難しい今回のような事案だ。東京五輪の開催国として大きなイメージダウンとなったスキャンダル。日本スポーツ界に大きな影を落とした。