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スクウェア・エニックス中途採用説明会に潜入取材! 広野啓氏や時田貴司氏らが参加したトークセッションでは本音もポロリ?

1/10(水) 21:12配信

ファミ通.com

文・取材:リプ斉トン

 『ドラゴンクエスト』シリーズや『ファイナルファンタジー』シリーズを始めとする、数々の人気ゲームを世に送り出してきたスクウェア・エニックスの中途採用説明会が、マイナビクリエイター主催で2017年12月2日にスクウェア・エニックス本社にて開催された。

 この説明会は、『ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス』(以下、『FFBE』)、『聖剣伝説2 シークレット オブ マナ』、『インペリアル サガ』などを手掛けるスクウェア・エニックス 第8ビジネス・ディビジョン(以下、第8BD)の中途採用者を募るもの。本記事では、説明会で行われたトークセッションの模様をリポートしていく。クリエイターたちのゲーム制作に対する考えかたや、社内の雰囲気など、ふだんは聞けないレアなトークが飛び出し、就職希望者はもちろん、ゲームファン必見の内容になっているので、要チェックだ。


 トークセッションの前には、第8BDのディビジョン・エグゼクティブであり、『FFBE』のプロデューサーも務める広野啓氏が登壇。募集する職種や、求める人材についての説明が行われた。

 今回、募集が行われるのは、プロデューサー、ディレクター、プランナー、アーティスト(デザイナー)、プロモーションといった職種の人材。広野氏は、「ゲーム市場は、売り切りタイプからダウンロード無料で都度課金を行う“フリー・トゥ・プレイ”まで、ゲームの規模が広がり、“どのようにゲームを提供するのか”から、“どういったサービスを提供し続けていくのか”が重要」と語る。続けて広野氏は、「ユーザーの動向を見て、データを分析して、そこから企画を考えることが重要。また、ゲーム開発は多くの人と関わるため、コミュニケーション能力が高い人ほど望ましい」と、求める人材について解説した。


 広野氏は、「ゲームのスタイルと同様に、プロモーションのやりかたも変化してきている。どのようにユーザーにゲームをアピールしていくのか。マーケティングの手法についても新しいアイデアが必要」と、現在のゲーム業界の課題についても語った。さらに氏は、「スマートフォン用ゲームは、ゲームの中身はもちろんだが、とくにグラフィックの進化が著しい。近年は中国や韓国の高クオリティーなゲームが日本でサービスを開始することも多くなってきた。それに対抗するためのアーティストは、2Dも3Dも不足している」と、人材に求めるスキルについて解説した。

 続いては、広野氏が統括する第8BDのクリエイターたちによるトークセッションがスタート。広野氏に加え、時田貴司氏、渋谷員子氏、野間崇弘氏が登壇し、さまざまなテーマについて語った。以下に、座談会形式でトークセッションの内容を掲載していく。


――『ファイナルファンタジー』、『聖剣伝説』、『サガ』など、スクウェア・エニックスを代表するシリーズの新作をリリースするうえで、どういったことを考えて開発されているのでしょうか?

広野 啓氏(文中は、広野) もともと自分が作り出したシリーズではないので、過去のシリーズ作を作られていたクリエイターの皆さんの意思や意図、そして、ユーザーさんがそこに抱いているものを捉えたうえで作ることが重要ですね。『ファイナルファンタジー』を、他所から来た自分が作るというのはおこがましい話ではあるものの、『ファイナルファンタジー』に対する愛はありますし、自分なりに新しい『ファイナルファンタジー』を作りたいと思っていました。『FFBE』の最終的な“『ファイナルファンタジー』らしさ”については、坂口博信さん(『ファイナルファンタジー』シリーズの生みの親であるクリエイター)や北瀬佳範さん(スクウェア・エニックス第1BD ディビジョン・エグゼクティブ。『ファイナルファンタジーVII』のリメイク作では、プロデューサーを務めている)と話をして、原点を作った方々の想いを取り入れています。

時田貴司氏(文中は、時田) BDというのはひとつのくくりではあるものの、タイトルによってはほかのプロジェクトを手伝ったりとかもあります。タイトルどうしのコラボレーションも重要な時代なので、部署間の風通しはかなりいいですね。


――必ずしも、BD内で開発が完結するわけではないんですね。

広野 『FFBE』ですと、エフェクトの開発には“BISHAMON”というツールを使っていますが、このエフェクトに関しては、北瀬さんの第1BDの開発の方に監修していただくような形になっています。

――『FFBE』は、過去のタイトルからキャラクターがドット絵になってたくさん登場していますが、このドット絵に関しては渋谷さんが監修されていると。

渋谷員子氏(文中は、渋谷) もともと広野くんに声をかけてもらって、最初はボランティア的に見ていたのですが、現在はしっかりと開発チームに入って監修をしています。『ファイナルファンタジー』というのは、その時代で最高のものをお届けしないといけないコンテンツなのですが、ドット絵に関しては開発陣に「あなたたち『ファイナルファンタジー』をなんだと思ってるの?」ときびしく言ったこともあります。いまも、開発会社さんに直接出向いて、彼らの机にべったりくっついて監修させてもらっています。

――続いては、スクウェア・エニックスらしさについてお伺いさせていただけますでしょうか。

時田 自分は、最近では『半熟英雄 ああ、世界よ半熟なれ…!!』をスマートフォンでリメイクしました。このタイトルは落としきり形式で、オマケ要素を課金するという、完全なフリー・トゥ・プレイではない新しい試みをしたゲームなのですが、こういったチャレンジができるのも、スクウェア・エニックスのいいところだと。王道RPGひとつ取っても、どの世代に向けて作るとか、どのジャンルで作るとかを多角的に考えられるので、そういったところもいいところですね。

――渋谷さんのようなクリエイター職の場合、クリエイターどうしの交流はあるのでしょうか?

渋谷 私はクリエイターどうしというのは、それほどないのですが、第8BDはほかの部署に比べて女性社員の数が多くて、彼女たちと女子会を開いてワイワイやるといったことは多いんですよ。

――女性でも働きやすい環境なのでしょうか?

渋谷 そうですね。子育て中のママも多いので情報交換も盛んですし、福利厚生もしっかりしています。

広野 アーティストの社員は、不定期ですが技術交換会をすることもあります。スクウェア・エニックスは、いろいろなジャンルのトップクリエイターと呼べる人材がたくさんいます。そういう人たちはちょっと怖そうに見えますけど、話しかけてみると意外とちゃんと話したり教えてくれたりするのが、おもしろいですよね。


――スクウェア・エニックスではBDごとにプロモーション担当の方がいるようですが、そういった職種については、いかがでしょうか。

野間崇弘氏(文中は、野間) 最近の運営タイトルはタイトル間のコラボレーションも多く、コラボをするときは、コラボ先のタイトルの担当と打ち合わせを必ずします。クリエイター職と同じで、BD間での情報交換をつねにしている感じですね。『FFBE』については、さまざまなシリーズのキャラクターが参戦しているゲームなので、各タイトルの担当との監修のやり取りも多く行っています。

――続いては第8BDの中身についての話をお伺いしたいのですが、部内の雰囲気はどうなのでしょうか。

広野 BDとしては、ちゃんと利益を出すというのは至上命題にはなります。その中でもきちんとおもしろいものを作って、市場とユーザーさんに新しい体験を提供するということがやりやすい環境だと思います。

――既存シリーズと、シリーズものではない新しいタイトルを出す割合というのは?

広野 既存シリーズタイトルを守っていく方向性のはもちろんあります。さらに、自分でオリジナルタイトルもしっかりと作っていきましょう、グローバルで戦っていけるようなゲームを作りましょう……というのが、第8BDの大きな目標です。現在は“バハムートディスコ”というアトラクションの企画・開発もしていますが、こういった新規事業にチャレンジしていくという目標もあります。

――プロモーションも、グローバルで展開されているのでしょうか?

野間 たとえば『聖剣伝説』シリーズは、ダウンロード版を海外で発売していますが、そういったタイトルのプロモーションもしています。タイトルによってケースバイケースではありますが、海外に向けたタイトルでは、アメリカやヨーロッパのグループ拠点と連携を取りながらプロモーションを行っていくというのが多いですね。

――そうなると英語を話すスキルも求められますか?

野間 海外のチームとは毎週のようにテレビ会議をしています。通訳もいますが、直接会話できたほうが早いので、英語を使える人はかなり需要が高いです。

広野 英語だけじゃなく、ハングルや中国語でやり取りすることもあり、多言語化してきてはいますね。

――英語力がある人は大歓迎と。

野間 プロモーション担当の場合、お客様と直接やり取りをすることも多いので、英語が話せる人のほうがうれしいですね。

――世界に目を向けたビジネスをしたい人にとっては働き甲斐がありそうですね。

野間 私も中途採用でスクウェア・エニックスに入ったのですが、外から見るよりも社風はすごく自由です。思っているよりも自由にアイデアを出せますし。

広野 第8BDで言うと、担当タイトルがバラバラでも、かなり話しかけやすい雰囲気ではあると思います。オフィスは、各部署やタイトルごとにブースを作って閉じ籠もって仕事をしているわけでなく、かなりオープンになっています。スタッフどうしの距離感はかなり近いですよね。

時田 クリエイター職の人は、自分が集中できる環境を作って仕事をしていますけど、誰かが相談にくることもあるし、今夜呑みに行こうと誘われることもあるし……。若い人もベテランも多い会社なので、それらを組み合わせたら、ゲーム開発でもいろいろな可能性が生まれるんじゃないかなと思っています。

――時田さんは役者としても活動していますが、会社員でもそういった活動をしてもいいのでしょうか?

時田 業務に差し支えがなければ、といった感じですね。私は年一くらいで演劇をしていますが、とても刺激になりますし、そこからコネクションもできたりするので。

――演劇をやっているのは、ある意味現在の仕事の肥やしになっていると?

時田 そうですね。あと、“自分が枯れない”というのもひとつの秘密になっています。

広野 どの役職でもそうですが、ゲーム開発に関わっている以上は、ゲーム以外のエンターテインメントも体験していくのが重要ですね。スクウェア・エニックスは最高の物語を世界中の皆さんに届ける会社なので、とにかくいろいろな物語に触れていってほしいなと思っています。



 4名の座談会は、大盛り上がりのうちに幕を閉じた。トークセッションの終了後は、説明会参加者からの質問を受けるコーナーに。ひとり目の参加者は、「シナリオ書きとして必要な技能は?」という質問を時田氏にぶつけた。時田氏は、「キャラクターの設定などもあるが、ゲームでの物語の設定はバトルシーンを盛り上げる装置だと考えている。小説のように積み上げていくのではなく、ゲームの遊び心地を考えたシナリオにすることが重要。お化け屋敷の設計図や、ジェットコースターのレールを配置するようなもの」と、自身のシナリオ制作に対する考えかたを語った。

 もうひとつの質問は、「近年は“王道RPG”や“本格RPG”といった言葉が多く使われるようになったが、皆さんが考える王道や本格の基準は?」という内容。これに対し広野氏は、「プロデューサー視点では、宣伝目的に使うこともある。『FFBE』では、レインという主人公の出会いと別れを含めた物語が体験できるが、こういったゲーム体験こそ、王道ではないかと」とコメント。続いて時田氏は、「きちんと期待に答えることだと思う。クリエイターというのは得てして“裏切りたがる”ものだが、その裏切りを効果的にするには、まずは皆さんの期待に答えないといけない」と語った。

 渋谷氏は「自分はクリエイターなので、目の前にある仕事をするのみ。その結果として王道や本格と思われることはうれしいが、そういったことは考えたことがない」と職人としての考えかたを語った。最後に野間氏は「王道にかわる言葉は常に探しています。そのなかで、ふたパターンあって、ひとつは王道という言葉を外すパターン。もうひとつは、あえて王道という言葉を使うパターンです。開発と相談して、「これは王道なんだ。自分たちがかつて子どものころに味わえた体験ができるゲームなんだ」という気持ちや方針が汲み取れれば、プロモーション担当として王道という言葉をあえて選びます。そのほうがその後の展開にもつながりやすいです。逆に、取ってつけたように王道という言葉を選ぶようなら、これはやめたほうがいいですよと意見します」と、キャッチフレーズをどのように選択するのかの指針を語ってくれた。


 第8BDの異なる立場のメンバーとのトークセッションは、質問コーナーを経て終了となった。今回の中途採用説明会の参加者の中から、スクウェア・エニックスの次代を担うクリエイターが誕生することを期待したい。



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最終更新:1/10(水) 21:12
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