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久慈川のシガ予報 データ集め、高精度指標

1/10(水) 4:00配信

茨城新聞クロスアイ

奥久慈の冬の風物詩「シガ」の発生を水戸市の男性会社員が予報している。出現予測が困難とされる中、気象データなどを基にオリジナル指標「シガ指数」を編み出し、昨シーズンは全て的中させた。「地元の人たちの『そろそろできる』という肌感覚を数値化できた。他では見られない景色を多くの人に見てほしい」と話す。

予報に取り組むのは、関根一夫さん(52)。日頃は電気機器などの品質保証の仕事に従事する。大子町の袋田の滝を訪れた2010年1月、シガを偶然見た。前兆がなく、予測して見にいくことが難しいとされる中、「もしかしたら規則性があるのではないか」と思った。

シガは寒さが厳しい冬、気温と川の水温が低くなることで、水面に無数のシャーベット状の氷が現れ、そのまま川の流れに乗って流れる現象。

シガの発生する場所は全国的にも少ない。久慈川の福島県矢祭町から大子町袋田付近までの約15キロメートル区間が観察できる代表的な流域とされる。

発生のメカニズムについては諸説ある。川底で生じた氷が浮き上がるという見方が根強いが、関根さんは「池に氷が張るのと同様、氷が水面で発生している」とみる。

初めて見た翌年の11年から、両町の複数箇所で久慈川の水温などを定期的に計測した。数年間の蓄積データからはじき出したシガ発生の基本的な条件は「一帯の朝の最低気温が3日続いてマイナス7・5度以下」「水温が0度以下」の2点だった。

こうした条件を基に地域気象観測システム(アメダス)などのデータを組み合わせた上、前日の最高気温と当日朝の最低気温を調べ、独自の数式で計算することで、出現可能性を示す「シガ指数」を発明した。数値が低いほど、発生確率が高まる仕組みだ。

シガ指数を使った予報を本格的に始めた16年から17年にかけての冬、全部で4回のシガを確認したが、いずれも的中させた。出現しないという予報を含め、シーズンを通した的中率は94%と高精度だった。

予報は現在、会員制交流サイト「フェイスブック」を使い、「久慈川のシガ予報」の名称で10日先まで掲載、大子町の地元FM局にも情報を提供し、気象予報の時間に合わせて放送されている。

関根さんによると、近年は発生件数が減少傾向にあったが、今季はラニーニャ現象が太平洋赤道上で継続している影響で寒さが厳しくなるとみられている。正確な予想を発信することで「素晴らしい景色を多くの人に見てほしい」と力を込める。 (鈴木剛史)

茨城新聞社