ここから本文です

若者の再出発応援 坂東にシェアハウス

1/10(水) 5:00配信

茨城新聞クロスアイ

過酷な労働や人間関係に疲れた若者たちが再出発に向けた“充電”の場として集うシェアハウスが、坂東市生子にある。併設する居酒屋で入居者が働いたり、好きに時間を過ごしたりする。来店客や周辺住民との交流を通じて自信を取り戻し、次のステップに向かう意欲が湧いた人も出てきた。管理人の木本一颯さん(25)は「生きづらさを感じている人の居場所にしたい」と話す。

シェアハウスは「リバ邸茨城」。発起人の一人、片倉蓮さん(22)の実家である店舗兼住宅を活用し、2017年5月に本格オープンした。居住スペースには現在、管理人を含め20~40歳代の4人が居住する。

木本さん自身も、以前は一般企業で長時間労働やストレスに苦しんだ。企業の運動会やパーティーを企画運営し、職場の雰囲気向上を支援する仕事だった。

顧客の要望に応えようとがむしゃらに働いた。「自分のことを顧みる余裕もなく、必死だった」。世の働く人を応援していたはずが、自分自身が疲弊するジレンマに陥った。

そんな折に友人だった片倉さんの実家に泊まる機会を持った。日々の喧噪(けんそう)を離れて心身の休憩ができ、「シェアハウスとして一緒にやっていかないか」との片倉さんの誘いを受けることにした。

店舗は昼、片倉さんの祖父母が定食屋を営業。夜は居酒屋となり入居者がアルバイトする。強制ではなく働きたい時に働くという。

入居者の社会との接点や生活費を確保する手段として、シェアハウスと居酒屋を両立する形態を取った。悩みを抱えた人が訪れやすくする狙いもある。

入居する人たちは、家や職場ではない場所を求めてリバ邸にたどり着いた。

長池涼太さん(29)は塾講師を4年務めたが、長時間労働などで体調を崩し退職。次に働いた農業法人では仕事の覚えが悪いと上司に怒鳴られ、3週間で離職を迫られた。存在を否定するような言葉も浴びせられ「自分に自信をなくした」。
「次に進む起爆剤として環境を変えてみよう」と、水戸市の実家を出てリバ邸に入居。居酒屋で働くほか、地域住民の手伝いを引き受けて屋台の補助や施設の清掃などを経験した。

相手から直接お礼を言われ「役に立てたと思えた。自信を取り戻せた」。地元の水戸で地域に関わる仕事をしたいという目標ができ、今月中にはリバ邸を“卒業”するつもりだ。

埼玉県出身の野口理清さん(28)は、人間関係が原因でIT関係の会社を辞めた。周囲に悩みを話しても、苦難を乗り越えるよう強く促す言葉ばかりだった。同じように悩みを抱えるリバ邸の仲間は、じっくりと話を聞いてくれた。しばらく入居し、去就をゆっくり考えたいという。

木本さんは「今の日本は家か職場のどちらかからこぼれ落ちると、居場所がなくなってしまう。人生の再出発を応援できる場にしていきたい」と話している。

居酒屋は午後6~11時、月・木曜定休。リバ邸への入居の最短・最長期間はなく、定員は10人程度。家賃は月2万3千円。問い合わせはリバ邸のホームページからか(電)0280(88)0254。

(小原瑛平)

茨城新聞社