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建設技術者は2025年に約11万人不足、生産性向上と働き方改革がカギ

1/10(水) 6:10配信

スマートジャパン

建設技術者数は減少傾向

 人材紹介事業を行うヒューマンタッチ株式会社が運営するヒューマンタッチ総研は、国内の建設技術者の人材需給について試算を発表した。建設技術者数は31万人(2015年)から24.3万人(2025年)と10年間で6.7万人減少し、2025年時点では本来必要な人材が約11万人不足すると予想した。一方で、IT導入などの生産性向上などが進めば、不足数は6万人弱まで縮小し、約5.5万人分もの需給ギャップの改善が見込めるとしている。

生産性向上シナリオでの建設技術者数推移(クリックで拡大) 出典:ヒューマンタッチ

 今回の調査は、建設業界人材需給ギャップを「建設技術者数」と「建設業界として本来必要な技術者数」の差として定義し、厚生労働省の雇用動向調査や同社内部データなどを基に2015年から2025年までの10年間で推計。「建設業界として本来必要な技術者数」は、

・生産性向上などが現状から進まない現状維持シナリオ
・生産性向上シナリオ

の2パターンで試算し、その結果をまとめた。

 2016年から2025年までの「建設技術者数」試算では、他産業からの入職や建設系学部卒業生の採用といった増加よりも、他産業への転職や定年退職による減少が上回る予想となった。この予想について同社では、2015年時点で業界就業者の3割を占める55歳以上の技術者が順次65歳を迎えて定年退職するが、他産業からの入職や新卒採用だけでは対応しきれていないと考察している。

人材需給ギャップ需給改善には生産性向上と働き方改革が急務

 現状維持シナリオによる「本来必要な建設技術者数」は、厚生労働省が公表する一般職業紹介状況より割り出し、2015年から約1000人減の35万6785人と試算する。しかし、「建設技術者数」は同期間で6.7万人減少するため、人材需給ギャップが2015年の約4万8000人から2025年には約11万4000人まで広がると予想している。

 一方で、生産性向上シナリオでは、情報化施工やITによる検査・維持管理などによる生産性向上と、時間外労働の削減や週休2日制の導入といった働き方改革がより進んだ状況を仮定し、「本来必要な建設技術者数」を試算した。

 同社は、政府が掲げている「2025年度までに建設現場の生産性が20%向上」という目標が実現した場合、同じ建設需要に対応するために「必要な建設技術者数」は約7万人削減できるとする。一方で、現状2078時間にもなる建設技術者の年間総労働時間を製造業レベル(1958時間)にまで引き下げれば、約1万6000人の雇用が新たに必要になると予想する。

 これにより、「本来必要な建設技術者数」が2015年比で約5万人減の30万1510人と試算され、人材需給ギャップは約5万8000人になると予想。現状維持シナリオから約5万5000人分ギャップを改善できるとした。

 この結果を受けて、ヒューマンタッチ総研所長の高本和幸氏(ヒューマンタッチ代表取締役)は、IT活用による生産性向上への取り組みは必須になると指摘しつつ、働き方改革の推進によって建設技術者の減少を抑え、試算よりもさらに需給ギャップが改善することも予想されるとコメントしている。