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カヌー薬物混入で露見 選手を狂わす東京五輪の異様な空気

1/10(水) 12:00配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 カヌー・スプリント日本選手権(昨年9月)に出場した鈴木康大(32)が小松正治(25)の飲み物に禁止薬物を混入していたことが発覚。2人は親友でありライバル関係でもあった。

 日本国内で他者からの禁止薬物混入によるドーピング違反発生は初。鈴木は8年間の資格停止処分となり、連盟は除名も検討している。

 東京五輪出場が絶望的になることを恐れて犯行に及んだという鈴木は、これまでも小松のパドルを盗んだり、他の選手のパドルにヒビを入れたり、さまざまな妨害行為を繰り返していたというから常習犯。“手癖”の悪さは論外だが、スポーツ庁の鈴木大地長官は「タチが悪い。五輪に出場したいという強い気持ちが前面に出すぎてスポーツ本来の目的が希薄になったのでは」と言った。

 自国開催はこれまでの五輪とは注目度がまるで違う。マラソンの川内優輝が日刊ゲンダイのインタビューで「東京五輪という大義があって、誰もがそこに向かっていかなければいけない。少しでも横道にそれたら『おまえは非国民だ』みたいな雰囲気が嫌」と話していたように、アスリートたちも異様な空気を感じている。それと同時に、東京に出場するか否かでその後の人生は大きく変わる。

 国内でカヌーはマイナー競技だったが、リオで羽根田卓也(スラローム)が銅メダルを獲得すると、競技の知名度が急上昇。五輪前までは羽根田自身も資金難に苦しみ、所属先を求めて約10社に手紙を送ってミキハウスに入社した。大ブレーク後は高級車ポルシェと複数年のスポンサー契約を手に入れ、テレビ番組でも引っ張りだことなって、「オリンピックドリーム」を体現した。

 薬物を盛った鈴木はリオの代表選考に落選して一度は引退したものの、東京を目指して現役復帰した。羽根田のような青写真を描いての復活だったのか。仮に五輪に出場すれば、代表になっただけで有名人となり、副収入もガッポリ……なんてソロバンをはじいていたかもしれない。

 この先も、東京五輪に狂わされる選手が出てくるかもしれない。