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有機電子光デバイス用高分子、新合成法を開発

1/10(水) 19:30配信

EE Times Japan

●従来よりも省資源、低環境負荷で製造

 筑波大学数理物質系の神原貴樹教授と物質・材料研究機構(NIMS)の安田剛主幹研究員らの共同研究グループは2018年1月、有機電子光デバイス用高分子半導体の合成工程を簡略化できる新しい合成技術の開発に成功したと発表した。この合成法で作製した高分子が、有機EL素子の発光材料として機能することも確認した。

 ポリチオフェンなどのπ共役高分子は、半導体としての性質を持つため、有機EL素子や有機薄膜太陽電池といった有機電子光デバイスの素材として注目されている。これら高分子の合成にはこれまで、クロスカップリング反応が利用されてきた。

 ところが、従来の合成手法だと、さまざまな高分子合成が可能となる半面、官能基として利用するスズやホウ素、ハロゲンなどを持つ原料(モノマー)を事前に合成する必要がある。その上、反応後にこれら官能基に関連する副生成物を、高分子から分離、除去しなければならないなど課題もあった。

 そこで研究グループは、高分子半導体を効率よく合成する工程の開発に取り組んだ。具体的には2種類の芳香族化合物のC-H(炭素-水素)結合を直接反応点として利用する、原子効率の高いクロスカップリング反応を用いた。この結果、高分子半導体の合成工程を、従来に比べて少なくとも2工程は削減できるという。

 しかも、反応条件を検討し、最終酸化剤に酸素を用いる合成法を確立した。この結果、酸化剤を効率よくリサイクルすることができた、しかも、反応後に生成される主な副生成物は水となるため、廃棄物なども削減できるという。

 今回開発した合成法は、電子輸送性モノマーと正孔輸送性モノマーを重合させることで、電子・正孔両電荷輸送性型の高分子半導体を開発することに成功した。開発した高分子を薄膜化して有機EL素子を作製し動作させた。この結果、電子と正孔が再結合して発光する有機EL素子の材料として機能することを確認した。

 研究グループは今後、反応のさらなる効率化と汎用性を高めていく計画だ。これによって、有機電子光デバイスの素材開発と実用化に弾みがつくとみている。

最終更新:1/10(水) 19:30
EE Times Japan