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<晴れ着トラブル>成人式に毎年お客…少子化 業者が先食い

1/10(水) 20:49配信

毎日新聞

 ◇被害相談で2年先の予約金支払いのケースも

 晴れ着のレンタル・販売「はれのひ」(横浜市)が成人式の日に連絡を絶ち、東京、神奈川、茨城3都県で振り袖を着られない被害が出た一件。神奈川県警の被害相談では2年先の式に向けて予約金を払ったケースもあった。和服業界の関係者は「少子化を背景に業者が顧客を先食いしている」と指摘する。振り袖事情を探った。【国本愛、岸達也】

 業界を少子化の波が洗う。総務省の統計で新成人女性は1970年には123万人だが今年60万人で半減。市場調査を手がける矢野経済研究所によると和服の小売市場規模も2008年の約4065億円から16年は2785億円に縮んでいる。

 業界誌を発行する「きものと宝飾社」の松尾俊亮編集長によると近年は振り袖関連が和服の売り上げの約4分の1を占める。「買ったり借りたりしてくれる客が成人式で毎年確実に現れる。割引や高校生向けイベントで先手を打つのは珍しくありません」

 振り袖は買う場合30万円、レンタルは10万円台が相場というが、2年先の式のためレンタルと写真撮影で計60万円をはれのひに払った例も。国民生活センターには和服購入で年間2000件以上、レンタルで400件前後の相談がある。「借りる2年前に全額入金を求められ不安」「1年以上先のレンタルを解約し2割の解約料を請求された」との訴えもあり、担当者は冷静な判断を呼び掛ける。

    ◇

 はれのひの着付け会場だった新横浜国際ホテル(横浜市港北区)の責任者たちは「女性たちの様子は言葉で言い表せない」「私にも娘がいる」などと当日の状況を語り、生涯に1度の機会を奪われた被害者を気遣った。

 成人式の起源は敗戦の翌46年11月、埼玉県蕨市で開かれた「青年祭」。新成人たちはもんぺ姿だったが、高度経済成長を経て70年代の成人式では振り袖姿が会場を埋めている。

 明治期に未婚女性の正装として定着した振り袖について、服飾研究の第一人者、長崎巌・共立女子大教授は著書で室町時代にはあったと指摘。留め袖と違い両脇が開いているのは、大人より体温が高く動き回る子供や若者の着物にベンチレーション(通風)の機能を持たせていたことに由来し、袖は江戸時代には短かったが、その後次第に伸びて現在の形になったという。

 一方、和服業界は振り袖の長い袖について「恋愛の振る、振られるという言葉の由来」「厄払いに通じる」「良縁を願って着る」などとうたい、女性の心をくすぐろうと懸命だ。

最終更新:1/10(水) 23:54
毎日新聞