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内田篤人はJリーグで活躍できるのか? 鹿島が示す厚い信頼

1/10(水) 11:30配信

VICTORY

「勝ち方」を熟知する、これ以上ない戦力

ドイツでの長い戦いを経て、30歳にして古巣・鹿島への復帰を決めた内田篤人。ここ2シーズンほとんどプレーできていないこともあり、全盛期のプレーが見せられるか懐疑的な声もある。それでもあえて鹿島復帰を選んだ心境はどこにあったのだろうか。鹿島番記者・田中滋氏に執筆を依頼した。(文:田中滋)

 1月3日、鹿島アントラーズはブンデスリーガ2部1.FCウニオン・ベルリン(ドイツ)より内田篤人が完全移籍で加入することを発表した。2010年夏にFCシャルケ04へ旅立った内田が8シーズンぶりに再び鹿島でプレーする。
 
 ドイツに渡ってからも相思相愛を続けてきた鹿島と内田。鹿島から発表されたコメントからも、古巣への強い愛情がにじみ出ていた。
 
「鹿島へ帰ってくることになりました内田篤人です。2010年にシャルケへ移籍した時から、また鹿島でプレーしたいという思いは常にあり、ドイツにいる時もずっとアントラーズを応援していました。伝統あるこのクラブの選手として、どう振る舞い、どういう姿勢で戦うべきか、自分なりに理解はしているつもりです」
 
 鹿島にとって内田が戻ってくることは願ったりだ。昨季、勝負強いと言われ続けてきたクラブが、目前にまで迫っていたJリーグ連覇を逃したことは、賞金や理念強化分配金を合わせておよそ10億円を失っただけでなく、タイトル獲得でしか得られない自信や勝者のメンタリティを塗り重ねられなかったことを意味する。
 
 内田は、鹿島で3連覇を経験したあと、ブンデスリーガや欧州チャンピオンズリーグ、W杯で無二の経験を積んできた。その影響力は計り知れない。3月で30歳を迎える“ベテラン”は勝ち方を熟知しており、足りなかったものを埋め合わせる人材としてこれ以上の適任者はいない。

ウニオンで見られなかった「内田らしさ」

 とはいえ、昨夏から加わったウニオン・ベルリンでは公式戦の出場はわずか2試合に留まる。1部昇格を狙うウニオン・ベルリンでポジションを奪うことができなかったことは残念ながら認めざるを得ない事実だ。
 
 ウニオン・ベルリンの強化担当者であるヘルムート・シュルテも「彼の持つポテンシャルを見せることができなかった」とコメントしており、期待するプレーでなかったことがうかがわれる。内田のシャルケ時代の恩師であるイェンス・ケラーを途中解任したことからも、彼らの本気度が伝わる(ケラーが解任されたとき、ウニオンは2部の4位だった。現在は6位)。本腰を入れて昇格を狙う彼らを満足させられなかったのだろう。
 
 ただ、チームにフィットできなかったのも、本人のパフォーマンスが上がらなかったのも、2シーズンもプレーから遠ざかっていれば致し方ない。
 
 9月10日の第5節フォルトゥナ・デュッセルドルフ戦、9月20日の第7節SVザントハウゼン戦の映像を確認しても、内田らしさを見ることは難しく、簡単なパスミスやトラップミスが散見された。守備の1対1でも対応は軽く、速さ勝負でも負けていた。しかし、10月5日の練習試合では、相手よりも先にポジションを取って攻撃に厚みを加え、パスのアイデアでチャンスを演出している。試合を重ねればもっと良くなっていくことが期待できた。
 
 しかし、そのタイミングで10月17日の練習で左太ももの肉離れを発症。異国の地で味わうさらにピッチが遠くなる感覚は、いずれは鹿島でキャリアを閉じる心づもりだった内田の決断を早めたに違いない。

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最終更新:1/10(水) 15:54
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