ここから本文です

福山大がテッポウギスの養殖挑戦 生物資源研究所、ブランド化目指す

1/10(水) 20:20配信

山陽新聞デジタル

 福山大内海生物資源研究所(広島県尾道市因島大浜町)が、地元産シロギスの養殖プロジェクトに取り組んでいる。卵から成魚にする完全養殖で、「テッポウギス」と呼ばれ高値で取引される体長25センチ以上まで効率的に育てる方法を模索。回転ずし店をチェーン展開する福山市の飲食業者と協力し、「しまなみテッポウギス」としてブランド化を目指す。

 生命工学部海洋生物科学科の有瀧真人教授が、約1年で成魚になる成長サイクルの速さ▽形態異常が出にくい▽病気に強く品種改良しやすい―といった特徴に着目。テッポウギスになるには通常3~4年程度かかるというが、計画では1年半に短縮する。

 2015年、有瀧教授と研究室の学生6人は研究を開始。研究所近くの海で釣った天然のシロギス50匹から採卵し、ふ化させて第1世代の約千匹を成魚にすることに成功した。うち200匹を昨年12月に福山市内の回転ずし店に出荷。にぎりずしや唐揚げで提供したところ、「さっぱりしておいしい」「歯ごたえがある」と好評だったという。

 しかし、第1世代は計画の約1年半で体長20センチ程度までしか育っておらず、短期間でそれ以上大きくするにはまだ“壁”があるという。加えて、卵から成魚に育つのは全体の約10%と歩留まりの悪さも課題。今後は餌の配合や水温などデータを分析しながらより適切な方法を探り、18年度中の実証実験開始を目指している。

 ブランド化に向け、16年に福山、倉敷市などで「廻鮮寿司(すし)しまなみ」を展開するアペックスインターナショナル(福山市南蔵王町)と愛媛県のタイ養殖業者の3者で共同研究契約を締結。同大の研究に基づいて養殖業者が実証実験、同社が商品開発を担う。

 有瀧教授は「技術としてはまだまだだが、研究のしがいがある。課題を一つずつ解決していくことで技術を確立し、地元の漁業振興につなげたい」と話している。

 シロギス キス科の海水魚で、瀬戸内海沿岸をはじめ国内に広く生息。脂肪分が少なくタンパク質を多く含み、天ぷらなどの料理に使われる。天然物は15~20センチ程度が多いが、25センチ以上に育ったものは「テッポウギス」「ヒジタタキ」と呼ばれ、通常の大きさの約3倍の1キロ当たり3千円程度の高値で取引されるという。