ここから本文です

高校サッカーはなぜ過密日程を変えられないのか? 球技ライターはこう見る

1/10(水) 18:01配信

VICTORY

「前よりは数段いい」けれども

1月8日に決勝戦を終えた高校選手権の過密日程について、本田裕一郎・流経大柏高監督、日本代表DF長友佑都選手が苦言を呈しました。適切なインターバルを設けなければ、選手のパフォーマンスは低下し、疲労の蓄積などから負傷のリスクも上昇します。なぜこのような日程で今年度の大会は開催されたのでしょうか?(文:大島和人)

第96回全国高等学校サッカー選手権は、1月8日に前橋育英の優勝で幕を閉じた。決勝戦後に議論を呼んだのが「過密日程問題」だ。

試合後の記者会見では流経大柏の本田裕一郎監督が「プレーヤーズファーストで大会を運営してほしい」と苦言を呈した。8日夜には日本代表DF長友佑都も自身のTwitterアカウントで「決勝に上がった2校の日程見て驚いた。1週間で5試合。いろいろな事情はあるんだろうけど、もう少し選手ファーストで考えてほしいな」とコメントしている。

今大会は下記のようなスケジュールだった。
・12月30日:開会式&開幕戦(1試合)
・12月31日:1回戦15試合
・1月1日:休養日
・1月2日:2回戦16試合
・1月3日:3回戦8試合
・1月4日:休養日
・1月5日:準々決勝4試合
・1月6日:準決勝2試合
・1月7日:休養日
・1月8日:決勝戦

前橋育英、流経大柏の両校は1回戦シードだったため5試合で済んだが、1回戦から登場するチームが仮に決勝へ進むと計6試合になる。

大会の主催者や日本サッカー協会が、選手たちのコンディションにまったく無関心ということではない。本田監督も会見の場で「前よりは数段いいけど」と補足をしたそうだが、「プレーヤーズファースト」の方向で日程やレギュレーションは変わりつつある。例えば今大会は1試合の交代枠が「4」から「5」に拡大されていた。

大会期間の拡張は可能か?

高校サッカーが年末開幕になったのは1994年度の第73回大会から。それまでは年明けの開幕で、1月1日に天皇杯決勝の前座として開会式を行い、2日に開幕していた。2日に1回戦、8日に決勝という「7日で6試合」の超過密日程だった。
 
2001年度からはハッピーマンデー制度を活かして、決勝が8日から成人の日に移った。それに伴って準決勝も「成人の日の直前の土曜日」に定まった。
 
ハッピーマンデー制度は成人の日、体育の日など4つの祝日を月曜日に移し、土日月の3連休を取れるようにした仕組み。成人の日は「1月の第2月曜」なので、8日から14日まで7通りのケースがある。
 
来年の成人の日は1月14日。つまり5日の準々決勝から12日の準決勝まで「中6日」になる。これだけの間隔があれば、選手の体力はほぼ回復するだろう。その先の暦を見ると成人の日は2020年が13日、21年が11日(2020年がうるう年のため)、22年が10日、23年は9日となる。次に8日へ戻るのは2024年だ。
 
この議論は広げようと思えば更に広げられる。一つは選手権を「大きくしよう」「理想の大会にしよう」という発想だ。例として挙げるならこのような意見だ。
 
・選手権の期間を拡大して十分なインターバルを取る
・出場校を64に増やして、シード校とその他の不平等を無くす
 
ただし選手権は高校生の大会だ。クラブチームも含めてこの年代は「試合を学校の授業と被さない」という大原則がある。もちろん年代別代表の国際試合は中高の休みなど関係なくFIFAやAFCが先に組んでしまうし、国内でも若干の例外はある。しかし選手権は多くの人手を要するビッグイベント。運営を担当する都道府県協会の役員は教員が多いし、スタッフの多くは各校の部員だ。各都道府県によって違いはあるが、冬休みは12月23日から1月8日。
 
「決勝戦を1月の第3日曜へ」という意見があるかもしれないが、この日はセンター試験だ。決勝で活躍するような選手は大よそ推薦で進路も決まっているのだが、どんな学校が勝ち上がってくるかは分からない。登録30選手の誰かがセンターを受けることは当然想定しなければいけない。

1/3ページ

最終更新:1/10(水) 20:51
VICTORY