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植松伸夫氏と北瀬佳範氏が語る、『FFVII』の思い出とコンサートへの意気込み。“BRA★BRA FFVII”開催決定記念インタビュー

1/11(木) 17:07配信

ファミ通.com

文・取材:ロマンシング★嵯峨

 作曲家・植松伸夫氏が制作総指揮を務め、2015年から行っている吹奏楽コンサートツアー“BRA★BRA FINAL FANTASY”(以下、BRA★BRA)。その2018年公演“BRA★BRA FINAL FANTASY VII BRASS de BRAVO with Siena Wind Orchestra”の開催が決定し、内容は『ファイナルファンタジーVII』(以下、『FFVII』)の楽曲のみで構成されることが明かされた。『FFVII』単独コンサートは、スクウェア・エニックス公式では初の開催となる。


 ファミ通.comでは、植松伸夫氏と、オリジナル版『FFVII』でディレクターを務め、現在開発中のリメイク版ではプロデューサーを務めているスクウェア・エニックス 北瀬佳範氏にインタビュー。BRA★BRA FFVIIへの意気込みや、『FFVII』開発時の思い出を語ってもらった。

 なお、2018年1月11日17時より、チケットオフィシャル二次先行受付がスタート。先着受付となるので、申し込みはお早めに!
・BRA★BRA FFVII チケットオフィシャル二次先行受付ページ
https://l-tike.com/st1/brabraff2018off/sitetop


『FFVII』オンリーのコンサートにした理由

――まずはBRA★BRA4年目突入決定、おめでとうございます!

植松4年目を迎えられるのは、これまでお客さんが会場に足を運んでくれたからです。いくらこちらがいいものを作っているつもりでも、BRA★BRAはあくまでエンターテインメントで商売ですから、お客さんがお金を払ってくださらなかったら続きませんでした。

――1年、2年と続けていく中で、コンサート自体に変化はありましたか?

植松毎年、シエナ・ウインド・オーケストラさんと日本各地を回らせてもらっていますが、初めのうちは遠慮気味で。格闘技で言うなら“ローキックから始まって探り合い”からだったんですけど、3年続けてきたことで、和気あいあいとした、バンド的なノリになってきたかなと思います。こちらから「こんなことをしたら、おもしろいんじゃないでしょうか」と提案したり、シエナさんからも「これはどうでしょう」って提案があったり。「この曲を演奏したい」、「こんなアレンジがいいと思う」とも言ってきますからね、シエナさんは。シエナさんのメンバーは若い方も多くて、ゲーム世代の方が多いんですよ。実際に『FF』をずっと遊んでました、という方たちがね。それはすごくうれしいですよね。

――もとのゲームを愛している方に演奏してもらえるのは、うれしいですよね。

植松昔、初めてオーケストラで収録したころはね、「ゲーム音楽でしょ?」と、軽んじられたこともあったんですよ。それこそ、20年くらい前は。そんな昔と比べると、「いっしょにおもしろいものを作りましょう」と言っていただけるのは、すごくありがたいです。シエナさんも、楽しそうに演奏しているのがわかるし、会場のお客さんも喜んでくれているのがわかるので。幸せですよ、すごく。

――では、来年の内容について詳しくうかがいたいと思います。『FFVII』をフィーチャーした内容になるとのことですが、そのような形にした理由をお聞かせいただけますか?

植松どの国でコンサートをやっても、やっぱり、『FFVII』の人気って異様に高いんですよね。プレイステーションで最初に出た『FF』、というインパクトもあるんだろうね。『FF』が世界的に認知されるようになったのは『FFVII』からですし。それほど人気なら、『FFVII』の曲だけで構成してみてもいいんじゃないかと思ったんです。

――BRA★BRA4年目に、変化球を投じた形になりますね。

植松毎年同じようなものをやると、飽きられちゃうでしょ。まず、僕が飽きちゃうんですよね、同じことをやっていると。だから、自分としてはやったことのない、ひとつのタイトルに特化したコンサートを初めてやります。怖いは怖いんですけどね、だって『FFVII』ファンしか来ないわけじゃないですか。でもまあ、やってみてダメだったら、つぎをまた考えようと。

――今回、『FFVII』オンリーのコンサートになると聞いて、北瀬さんはどう思われましたか?

北瀬ビックリしましたよ。「植松さんといっしょにコンサートを盛り上げて」という話をいただいて、自分がそういう立場になるということは考えていなかったので……怖いですね。植松さんは無茶ぶりしてくるので(笑)。コンサートでは壇上に立たされるかもしれません。でも、いままでやってこなかったことなので、楽しそうだなと思っています。

植松北ちゃん(北瀬氏のこと)がトップで仕切った『FF』って、『FFVII』が最初じゃん? 北ちゃんにとっても『FFVII』は印象的な作品なんじゃないかなって。だから今回は北ちゃんに来てほしいな、という気持ちが僕にもあったんですよね。

北瀬ハードがプレイステーションになって、劇的な変化がある中で、植松さんがいろいろとチャレンジしていたということもあって、『FFVII』は印象に残っていますね。
今回も、来場者を驚かせる変化球が満載!?

――『FFVII』の曲といっても、かなりの種類がありますが、どの曲が演奏されるのか、気になります。すでに譜面がある曲は、もちろん演奏しますよね?

植松それはやりますよ。もちろん、これまで演奏されていない曲もやります。みんなに喜んでもらえるといいんですけどね。

――北瀬さんは、曲目はご存じなんですか?

北瀬一応、最初にお声がけいただいたときに、曲目もいただいて。自分の好きな曲もリクエストしたんですが、それが最終的に演奏されるかどうかは……? 『FFVII』の曲はどれも印象深かったので、リクエストした曲がたとえ入っていなくても、満足なんですけどね。

植松2時間ぐらいのコンサートなので、さすがに全曲は難しいんですよね。

――2017年のBRA★BRAでは、「クレイジーモーターサイクル」が尖ったアレンジで演奏されましたが、今回も、どんなアレンジがあるのか楽しみです。

植松ただキレイなだけ、ただカッコいいだけの音楽というのもできるとは思います。でも、音楽だからいろんな楽しみがあるわけで。それぞれの音楽に味の違いがあって、その味わいかたさえ覚えれば、音楽って全部楽しいんですよね。それを伝えたいので、たとえばジャズっぽくしてみたりと、ふだんは聴けないようなアレンジを1、2曲は入れています。

北瀬そういう変化球、好きですよね? つねに人を驚かせてやろうとか、うまくだまして楽しませてやろうとか、そういった精神が昔からありますよね。

植松『FFVIII』の曲に「FITHOS LUSEC WECOS VINOSEC」ってあるじゃないですか。あれはアナグラムで、文字を入れ替えると、“魔女の継承(SUCCESSION OF WITCHES)”と“愛(LOVE)”って言葉になるんですよ。その仕組みを考えて、アルファベットを区切っておもしろい言葉にできないかな、と悩んでいるときに、北ちゃんが部屋をのぞきに来て(笑)。

北瀬「ちゃんと仕事してくださいよ」って(笑)。でもそういうのがいいんですよ。お客様を楽しませたいという気持ちが、コンサートにも出ているんだろうなと。

――アンコールにいたるまで、お客様を楽しませようという気持ちが出ていますよね。今回も、アンコールで来場者といっしょに演奏する形は踏襲しますか?

植松はい。あれは定番で、あのアンコールのために1年間楽器を練習する、という方もいらっしゃいますからね。とくに吹奏楽をやっている人にとっては、シエナさんの隣でいっしょに吹けるというのは幸せでしょうし。もちろん演奏がうまくなくてもいいんですよ。いっしょに楽しんだもの勝ちですからね。

――そのアンコールに『FF』の曲で参加できるというのが醍醐味ですよね。北瀬さんもぜひ参加を!

植松ちなみに、前の奈良公演(2017年6月)は、坂口さん(坂口博信氏)や渋谷さん(渋谷員子氏)もステージに上がっていたよ。

北瀬楽器は演奏したんですか?

植松カスタネットみたいなものをやってたな。

――北瀬さんは、楽器のご経験は?

北瀬小学校の音楽の授業でやったぐらいです。

植松ハーモニカなら大丈夫じゃない? 時ちゃん(時田貴司氏)はギター持ってたしね。なんでもありですよ。



『FFVII』のベースにあったのは、坂口博信氏の思想

――『FFVII』は、サウンドトラックがCD4枚組で、「曲のボリュームがさらに増えた!」と思ったことを覚えています(『FFV』サントラは2枚組、『FFVI』サントラは3枚組)。

植松あのころから、サントラは4枚になりましたね。『FF』は、自分はナンバリングの中で言うと、とくに『VII』と『X』が気に入っているんですよ。『FFVII』って、“命とはなんだ”というテーマを思わせていて、すごく重いというかね。ゲームでそのテーマをやるのか! というのが印象的でした。あれをもっと突き詰めたいなと思います。命が何かというのは、誰にもわからないもので、突き詰めても突き詰めても答えは出ないかもしれないけど。

――『X』については、どんなところが印象的なのですか?

植松あの世界観を、日本人が堂々と世界へ発信するということが印象的でした。どこかアジアを感じさせる、でも実在はしない世界という。あの独特の世界観が、『X』だけで終わっちゃったのが、ちょっと残念かな。

北瀬『FFVII』の、星と命というテーマについては、坂口さんが基本となる思想を持っていました。書類で書かれていることだけじゃなくて、直接詳しく話してくれていたんですよ、その星と命の思想について。それを『FFVII』というゲームの世界観にうまく定着させるのが私の仕事でした。坂口さんの中にベースがあったから、星や宇宙などの設定をしっかりと作れたのだと思います。

植松思想があったんだね、ゲームの背景にね。『X』なんかも、作り手はそんなに意識していないかもしれないけど、“すべてのものに命が宿る”という考えは、日本人は、なんとなく感覚として持っているじゃないですか。その独特な世界観は、海外では作れないですよね。

北瀬海外の皆さんは、どう受け取っているんですかね?

植松新鮮なんじゃないかな?

北瀬自分も外国の人ではないのでわかりませんが、そういったものを作っていくことが、世界の皆さんに新鮮に映るんだと信じて作っているところはありますね。必要以上に世界のトレンドを気にして、迎合していくよりは、我々が作りたいものを作っていけば、結果的に差別化は図られるのだと思います。

植松そのほうがいいと思いますよ。そういう時代に来てると思うしね。作り手の思想や美意識みたいなのがまずあって、その上にロールプレイングゲームを作っていけばいいんじゃないのかな。ゲーム音楽に関しても、作家性がもっと問われてもいいんじゃないかと思いますね。ゲーム文化が始まってから、もう30年以上経っていますしね。
印象的なシーンと結び付く曲たち

――『FFVII』開発時のことをもう少しお聞かせください。当時はどのように曲を作っていたのでしょう?

植松僕、『FFII』あたりから、坂口さんに何も言われなくなって。シナリオを渡されて、「やっといて」って、それだけ(笑)。必要な曲数も教えられないわけですよ。だから、シナリオを見て、「ここに曲が必要だな」と考えながら作っていく、という感じでした。

北瀬そんな感じでしたね(笑)。植松さんのすばらしいところは、ゲームをプレイしてくださっているところなんですよ。

植松やってますよ! 物語ありきで作っていかないと。

北瀬ゲームができあがってきたら、植松さんはちゃんとプレイして「ここは、この曲がいいだろうな」と汲み取って、曲を作ってくれるんです。ちゃんと何回もプレイして、曲と映像がマッチしているかどうかを確認してくださっていたので、当時からありがたかったですね。

植松でも、「この曲はここに付けないと嫌だ」というこだわりはなくて。こちらが渡した曲を、いいところで流してくれることがあるんですよ。鳥山くん(鳥山求氏。『FFXIII』シリーズのディレクターなどを担当)だったと思うんだけど、「エアリスのテーマ」を、回想シーン(エアリスの義母が、エアリスとの出会いを語るシーン)で流してくれて。遊んでいて、「ここで、これを流しますか~!」と、(鳥山氏の采配に)助けられたなあと思ったことがありますね。タイトルが変わりますけど、『FFX』の「ザナルカンドにて」も、『FF』用に作った曲じゃなかったんだけど、鳥山くんがオープニングに貼ってくれて、「いや~、これ以外ないわ! すごいセンスだな!」って思いました。ゲーム作りの音楽では、そういうところで助けられたことはいっぱいあります。

――北瀬さんは、『FFVII』のサウンドについて、どんなことが印象に残っていますか?

北瀬それまでの『FF』は、シーンに紐づいた音楽というよりは、地域だったりバトルだったりに合わせた曲作りが多かったと思いますが、『FFVII』からはムービーシーンが入ってきたこともあって、映像と曲のマッチングを考えるようになったと思います。それもあって、“この曲を聴くと、あのシーンを思い出す”というニュアンスが濃くなっていて、非常にいいなと。

――今回のコンサートで、ユーザーがきっといろいろなシーンを思い出すと思います。

北瀬逆に、もし『FFVII』をプレイしたことがないなら、音楽から興味を持ってもらって、ゲームを遊んでいただけるとうれしいですね。

――これを機に、『FFVII』ファンがさらに増えるといいですよね。では最後に、コンサートを楽しみにしている読者に向けて、メッセージをお願いします。

植松『BRA★BRA』も4年目を迎えることになりまして、今回は『FFVII』オンリーにしてみました。これまで通り、「こうすればおもしろくなるんじゃないか」、「こうすればいいものができるんじゃないか」と模索しながら作っておりますので、きっと楽しめるデキになると思います。ぜひ会場に来て、いっしょに楽しんで、いっしょに演奏してください。

北瀬『FFVII』がテーマということで、植松さん直々にご指名いただきました。植松さんのキャラクターに助けてもらいながら参加して、皆さんと近い距離で楽しんでいきたいなと思っています。

最終更新:1/11(木) 17:07
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