金融機関が貸家業向けに個人に融資する「アパートローン」が急減速している。2017年7~9月期の新規融資額は前年同期比で2割以上も減り、3四半期連続で前年割れ。過剰な融資を懸念した金融庁が監視を強化したことに加え、相続税対策としての需要が一巡したため、融資が減ったとみられる。
とはいえ、貸出残高は地方銀行を中心に高止まりしており、金融庁は引き続き警戒している。
日銀によると、17年7~9月期のアパートローンの新規融資額は20.5%減の8591億円。同年1~3月期は0.9%減、翌4~6月期は14.4%減で、マイナス幅が拡大している。
アパートローンの減少は貸家の新設着工戸数にも影響。17年11月の貸家着工は前年同月比2.9%減の3万7508戸と、6カ月連続で前年同月を下回った。
つい最近まで、アパートローンは拡大してきた。15年の税制改正で相続税が増税となったが、アパート建設で節税できるとして借り入れる人が増加。低金利が続く中、高い金利が見込めるとして地銀を中心に融資を増やす動きも加速した。
新規融資額は、7.9%増となった15年1~3月期以降、8四半期連続で前年超え。中でも、16年4~6月期には、26.1%もの伸びを記録した。
だが、急増するアパートローンを金融庁が問題視。「空室発生や賃料低下のリスクを借り手が十分理解していない状況がある」などと指摘した。
土地を資産に持つ個人の相続税対策としての需要が一巡したことも、新規融資減につながったようだ。
全国地方銀行協会の佐久間英利会長(千葉銀行頭取)は17年11月の記者会見で「地価が上がって採算のとれるアパートが少なくなった」と述べ、需要が頭打ちとなっている可能性を示唆した。
それでも、アパートローンの貸出残高は地銀を中心として高止まりしている。全国銀行協会によると、全国116行の17年10月末の残高は22兆6093億円に上った。このうち、地銀105行は14兆4693億円と、6割超を占めている。
金融庁は17年7月~18年6月の重点施策をまとめた「金融行政方針」で、「不動産市況や地域金融機関の融資動向を注視する」と強調。「将来的な賃貸物件の需要見込みや金利上昇などを借り手に説明できているかなどについて、引き続き対話を行う」としている。
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