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「影の大統領」凋落=バノン氏、米右派メディア会長辞任―トランプ氏の怒り買う

1/11(木) 7:04配信

時事通信

 【ワシントン時事】トランプ米大統領の最側近として、一時は「影の大統領」とまで称されたスティーブ・バノン前首席戦略官・上級顧問(64)が9日、右派メディア「ブライトバート」の会長を辞任した。

 2016年の大統領選中にロシア人弁護士と面会したトランプ氏の長男を「反逆的」と批判したことなどが大統領の逆鱗(げきりん)に触れ、これを問題視した株主から事実上解任された形だ。

 バノン氏は海軍出身で、投資家を経て12年にブライトバート会長に就任。大統領選では、投票の2カ月余り前にトランプ陣営幹部に抜てきされ、事前予想を覆す勝利に貢献したとされる。

 人種差別的な極右運動「オルト・ライト」とのつながりも指摘され、イスラム圏一部諸国からの米入国禁止や、地球温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」からの離脱を主導。内紛でホワイトハウスを去った後も、トランプ氏との関係は続き、政権に一定の影響力を保っていたといわれた。

 だが、最近発売された暴露本「炎と怒り」掲載のインタビューで、トランプ氏の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏や長女のイバンカ大統領補佐官を批判したことに、トランプ氏が「職を失っただけでなく、正気も失った」と激怒。バノン氏は「不正確な引用への対応が遅れた」と釈明したが、ブライトバート株主からの信頼も失った。司会を務めていたラジオ番組も降板し、影響力はほぼ失われたとみられている。

 11月に中間選挙を控え、世論調査で劣勢が伝えられる共和党の執行部にとって、事あるごとに主流派と衝突し、足並みを乱してきたバノン氏の凋落(ちょうらく)は「朗報」だ。CNNテレビによると、中間選挙で同氏が擁立を進めてきた保守強硬派の候補者らも距離を置き始めた。ある候補の陣営幹部は「バノン氏は数ある有力支持者の1人にすぎない」と強調している。

 バノン氏と決別したトランプ氏が今後、中間選挙をにらんだ議会での実績づくりのためにも、党主流派との協調姿勢を強める可能性はある。一方、バノン氏に代表される「反エスタブリッシュメント(既得権益層)」のうねりは、大統領選でトランプ氏を押し上げた原動力。主流派との妥協は、中核的支持層の離反を招きかねないというジレンマもある。 

最終更新:1/11(木) 8:49
時事通信