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増税、過去には消費低迷 影響緩和へ賃上げ浸透カギ

1/11(木) 7:55配信

産経新聞

 世銀が日本の成長率の先行き鈍化を予測したのは、平成31年10月に予定される消費税増税の影響を織り込んだためだ。9年4月に消費税率を5%に上げた際にはアジア通貨危機が重なり景気は低迷、26年4月の税率8%への増税時も消費を冷え込ませて経済が停滞した。安倍晋三首相は消費税率を予定通り10%に引き上げるかどうかを今年秋をめどに判断する見通しだが、確実な実施には増税の衝撃に耐えうる強い経済基盤を築けるかにかかっている。

 世銀は消費税増税に伴う消費の鈍化などから32年の日本の成長率は0・5%まで落ち込むと予測したが、過去の消費税増税後の日本経済はどうだったのか。

 消費税率を3%から5%に引き上げた9年4月には4~6月期の実質国内総生産(GDP)が前期比0・8%減となり、8年10~12月期の1・1%増、9年1~3月期の0・4%増から一転、マイナス成長に陥った。GDPの約6割を占める個人消費は2・6%も減少した。

 消費税率を5%から8%へ引き上げた26年4月も増税前のプラス成長基調から一転、4~6月期は1・7%減となった。個人消費が4・6%もの大幅な減少になったことが直撃した。

 安倍首相は、消費税増税が景気に与える影響を踏まえ、当初27年10月に予定していた10%への引き上げを2度延期してきた。ただ、31年10月の10%への引き上げは予定通り行われるとの見方もある。

 というのも、昨年の衆院選で自民党は、増税分の使途を組み替えて一部を幼児教育無償化などの財源に充てる公約を掲げたためだ。安倍首相も昨年11月21日の衆院本会議で「中止することはない」とし、予定通りの実施を示唆した。

 ただ、過去の増税を振り返ると、いくら経済対策を講じても消費を冷え込ませた経緯がある。このため安倍首相は、増税の影響を緩和できる「賃上げ」の浸透を目指し、30年春闘で経済界に3%以上の実施を要請した。賃上げが浸透し、消費喚起型のデフレ脱却につなげられるかが、予定通りの増税に向けた鍵を握る。(今井裕治)

最終更新:1/11(木) 7:55
産経新聞