ここから本文です

貴乃花親方は「何を」明らかにしたいのか? 降格処分への疑問、相撲協会の闇

1/11(木) 11:32配信

VICTORY

昨年末から連日メディアを賑わせる元横綱・日馬富士の暴行問題ですが、年明け4日、臨時評議員会が承認したことで、貴乃花親方の「2階級降格」処分が決定しました。賛否両論、世間を二分する今回の処分ですが、貴乃花親方は沈黙を続けたままです。黙して語らない貴乃花親方の真意は? 貴乃花親方へのインタビュー経験もある作家・スポーツライターの小林信也氏に寄稿いただきました。(文:小林信也)

悪者扱いのリスクを背負った“沈黙”は何のため?

幕内力士(当時)貴ノ岩に対する暴行問題に、ようやく一応の区切りがついた。ここまで2カ月もの時間を要したことも異常だが、日馬富士をはじめ主にモンゴル出身力士による暴行事件が、いつの間にか“貴乃花親方の問題”にすり替わったことには大きな疑問がある。しかも貴乃花親方がこの件に関わった人物の中で最も重い処分を受けるというおかしな結末を迎えてしまった。

「明らかに礼を失していた」と、池坊保子委員長が理事解任の理由を挙げたが、貴乃花親方は、大相撲を改革するため、あえて内部情報に止めず警察に届けた。そして、メディアや世間に口外すべきでないと判断した事柄は徹底して口を閉ざし、相撲界の名誉を失墜させる事態を避けた。この行動は、実はものすごく「相撲界に対して礼儀を尽くした」とも言えるのだ。無言を貫けば自分が悪者になる状況も予想できただろう。それでも沈黙を守ったのは「自分のため」とは考えにくい。

確証はないが、すでに多くのメディアが指摘しているので端的に書く。今回の事件の背景には「星のやり取り」つまりは八百長が常態化している心配があり、貴乃花親方はこれを根本的に一掃することこそ大相撲の改革・再生の前提だと信じている。それを徹底して内部に訴え、改善を提起しているように読み取れる。
「相撲道の違い」と高尚な表現をするとわかりにくくなる。要するに、自分はそれを絶対しなかった、そこに誇りがある。ところが……。その悪しき慣習(疑念の存在)に鉈を振るおうとしない現執行部に対するもどかしさ。

自分の弟子が暴行を受けた、重大な事実が起こった時、協会は被害者である自分たちの思いを全面的に受け入れて対処してくれないだろう。そう感じる体質が協会にはあった。事実、問題が協会に伝えられてからも、メディアが報じるまで協会は一切隠蔽していた。その責任はいまだ問われていない。

1/3ページ

最終更新:1/12(金) 12:51
VICTORY