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<「はれのひ」破たん>千葉県内でも相談、救済呼び掛け 業界に懸念と反省

1/11(木) 10:52配信

千葉日報オンライン

 着物レンタルや販売を手掛ける「はれのひ」が突然、店舗を閉鎖したため新成人が振り袖を着られず、「一生に一度」の晴れ舞台を台無しにされる悲劇となった。千葉県内でも10日までに警察や関係機関に相談が多数あり、借りられなかった新成人の“救済”に乗り出した店も。着物業界は成人の2年前から契約を先取りすることが常態化。新成人の減少などから競争が激しく、はれのひは以前から経営の苦しさがうわさされていた。関係者からはイメージダウンへの懸念や、反省の声が上がる。

 「明細などありましたら、基本無料でご相談に乗ります。はれのひで現在振袖お困りでしたら、千葉になりますがお気軽にご相談下さい」

 和装専門店「そめの近江」の市川店(市川市市川1)は問題が明らかになった8日、急きょツイッターのアカウントを新設して呼び掛けた。同市は前日の7日に成人式が終了。貸し出せる着物があったためだが、「振り袖が着られなくなり困っている新成人の力になろう」と、無料で振り袖を貸し出す態勢を整えた。

 利用者の多くが横浜市など遠方だったためか実際に申し出はなかったが、同社の小嶋貴仁本部統括室長は「同業者から聞いて助けたいと思った。(今回の件は)考えられないことで、呉服に対するイメージが悪くならなければいいが…」と懸念を示した。

◆GWからDM送付

 「まだ2年も先なのに」。船橋市の主婦(50)は、高校3年の長女(17)宛てに昨夏から次々と届いた成人式用着物レンタルのダイレクトメール(DM)を見て驚いた。鮮やかなパンフレットに華やかな振り袖姿のモデルが並ぶ。「人気商品からどんどんなくなる」との記載もあり、「急がないと」と焦った。

 はれのひも「現金で今支払えば5%引き」などとうたい、勧誘していたという。

 着物販売、レンタル大手の「京都きもの友禅」の弓削佳美経営企画部課長は「振り袖を普通は1着しか買わないから、各社は客を早く確保しようと競争になる。DM送付も早期化し、かつては式の1年前だったが、現在は2年前のゴールデンウイーク頃から」と明かす。

 消費者の感覚は時代とともに変化し、着物は購入よりレンタルが一般的に。レンタル業者が増えた一方、着付けやヘアメークのサービスなども含めると利幅は大きくなく、業績は厳しい。成人式はそんな業界にとって一大イベントだ。

 リユース着物販売「東京山喜」の中村健一社長によると、振り袖市場の規模は推測で年680億円。うち9割以上が成人式用だ。新成人の減少に伴い、市場規模は横ばいかやや減少傾向という。

◆サポート

 中村社長は「平均価格は購入で36万円、レンタルでも15万円。売る側は早い者勝ちと、高校生の名簿を買ってきてまで勧誘するが、買い手は初めての体験。強引な契約は消費者の価値観とかけ離れている」と業界の在り方に苦言を呈する。

 国民生活センターには和服関連の相談が年300~400件寄せられている。「借りる2年前に全額入金を求められ不安」「1年以上先のレンタルを解約したら、2割のキャンセル料を請求された」という声もあり、センターの担当者は「倒産のリスクも考え、その場ですぐ契約しないで」と呼び掛けている。

 業界誌を発行する「きものと宝飾社」(京都市)は、「はれのひ」の被害者の会を設立。既に入金した来年、再来年の新成人救済も検討する。松尾俊亮編集長は「信用を落とさないよう、業界全体でサポートしたい」と説明した。