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軽くて長持ち 大野木工(岩手・洋野)の給食用食器、全国の保育施設で人気

1/11(木) 13:30配信

デーリー東北新聞社

 岩手県洋野町大野で生産される大野木工が、保育施設の給食用食器として人気を集めている。現在は北は北海道、南は沖縄まで200施設以上に納品。職人が一つ一つ手作りする大野木工は信頼が厚く、高い評価を得るブランドに成長した。一方、職人は減少傾向で、後継者の育成や確保、生産力の向上が課題となっている。

 大野木工は出稼ぎが多かった旧大野村の状況を打破しようと、地域資源を活用して村全体を工芸、手作りの里にする「一人一芸」運動が興ったのをきっかけに、1980年に誕生した。

 大野ふるさと公社によると、地元中学校への導入を皮切りに学校給食器として人気が高まり、バブル期には高額な家具などの注文も相次いだ。

 その後、景気の後退とともに注文は減少傾向となったが、給食器としての需要は堅調で、公社を通して納品する施設数は2006年度に100施設を突破。17年12月時点では保育所や幼稚園、認定こども園などを中心に208施設に上る。職員が保育関係の研修会などに出向いてPRしているほか、口コミで人気が広がっているという。

 岩手県産の木材で作られた製品は丈夫で軽く、食器洗浄機や乾燥機でも使用できるため、給食用の器として導入しやすい。劣化したり、ヒビが入ったりしたら修理が可能なことも、長く愛される理由の一つだ。

 実際に使用している施設からは「木の器に盛り付けることで、野菜嫌いの子どもも野菜を残さず食べるようになった」「子どもたちが物を大切に扱うようになった」などの反響があるといい、今や保育現場で愛されるベストセラー商品に。公社の職人猫屋敷誠さん(37)は「木のぬくもりを感じてもらい、子どもたちが大切に使ってくれればうれしい」と作り手の願いを語る。

 制作には、木材を乾かした後に木取り、粗彫り、中彫り、仕上げ彫り、塗装などの工程があり、長い時間を要する。完成まで手間暇掛けて作られているが、多くの注文がある中、担い手の確保や生産力の向上は喫緊の課題。町によると、ピーク時は約30人いた職人は、高齢化などによって現在は11人ほどまでに減少した。製品は現在、受注から納品まで2年待ちの状態となっている。

 後継者育成に向け、町は15年度、13年ぶりにクラフトマンの育成事業を開始した。現在5人の研修生がいて、担い手不足の改善に結び付くか注目が集まる。研修生への就職先の仲介などを行い、研修終了後の支援に力を入れていきたい考えだ。

 公社の林下千一郎事務局長は「当面は給食器に力を入れる。若い人材も育成してきたい」と語る。

デーリー東北新聞社