ここから本文です

「できることやり続ける」 遺志継いだ訪問看護、高野病院スタッフ

1/11(木) 12:32配信

福島民友新聞

 東京電力福島第1原発事故後も避難せず、患者の診療を続けた広野町の高野病院の院長だった高野英男さん=当時(81)=が2016年12月30日に自宅の火災で亡くなって1年。高野さんが夢見た町内初の訪問看護事業が11日、遺志を受け継いだ病院スタッフの力で動きだす。


 「地域医療を守るため、自分たちができることを淡々とやり続ける」。高野さんの死去で一時は存続の危機にさらされた病院の新たな挑戦が始まる。

 「自分たちの努力で実現したい」。療養病棟での経験を生かし、11日に開設される「訪問看護ステーションたかの」で所長を務める青木武彦さんら看護師3人は意欲をみなぎらせた。

 原発事故による避難指示解除に伴い、住み慣れた古里に帰還する住民が増え始めた双葉郡南部の広野、楢葉、富岡、川内4町村を駆け回り、在宅医療を望む利用者や家族と向き合う。

 訪問看護事業は高野さんが構想を抱き、16年1月に準備に入った。高野さんの次女で、病院を運営する医療法人社団養高会の高野己保(みお)理事長は「生まれ育った地で天寿を全うしたいのは誰もが望むこと」と思いを代弁する。

 ただ一人の常勤医で管理者でもあった高野さんの急逝により、一時は病院の存続すら危ぶまれたが、診療態勢が安定すると病院スタッフが奮起、手続きを終えて開設にこぎ着けた。

 現在は河合義人院長と福島医大の派遣で常勤医が2人となり、精神科については県立矢吹病院や杏林大など非常勤医11人と協力し、外来と入院患者97人の診療に当たる。

 県や町から補助を受けているものの、医療スタッフの確保に必要となる人件費の高騰や、診療報酬の削減のあおりを受け、厳しい病院経営が続くなかであえて業務を拡大した。

 「地域の医療ニーズに合うように。それが私たちの役割。この地に踏ん張って暮らす人の役に立ちたい」と己保理事長。病院も住民と一緒に踏ん張る覚悟だ。

福島民友新聞

最終更新:1/11(木) 12:32
福島民友新聞