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春闘相場形成へ「厳しい交渉」 全トヨタ労連、ベア3千円以上要求

1/13(土) 7:15配信

SankeiBiz

 トヨタ自動車グループの労働組合でつくる全トヨタ労働組合連合会(全トヨタ労連)は12日、兵庫県尼崎市で記者会見を開き、今春闘で、従業員の基本給を一律に引き上げるベースアップ(ベア)について月額3000円以上を統一要求する方針を発表した。国内最大の製造業であるトヨタの労使交渉は、春闘相場の形成に大きく影響する。ただ、電気自動車(EV)や自動運転といった次世代技術への対応が迫られるなど経営の先行きは不透明で、決着は予断を許さない。

 ◆3年連続の水準

 ベア要求は5年連続で、「3000円以上」の要求水準は3年連続。全トヨタ労連は12、13の両日に、同市内で傘下労組の代表者らが集まる中央委員会を開催。要求方針を提案し、議論を踏まえた上で13日に採決して正式に決める。ベアの要求水準について鶴岡光行会長は、「各加盟組合がしっかりと取り組むことができる額だ」と説明した。

 トヨタが主導する製造業の賃金改善による消費刺激効果には、政府の期待も大きい。来年度の税制改正には、賃上げと国内設備投資などを条件に法人税を減税する措置が盛り込まれた。鶴岡氏は政府の後押しについて、「数字だけが先走っており、交渉に影響するとは思わない」と述べた。経営側も「(賃上げと減税は)切り離して考えていくべきものだ」とする一方、「優遇措置があるのに受けない、ということを株主がどう評価するのか、という観点もある」(幹部)と一定の効果を認める。「日本経済の好循環実現に向け、最大限の役割を果たしたい」(同)という意識も強い。

 ただ、自動車業界は「100年に1度」と言われる大変革期に直面しており、トヨタも昨年12月、2025年に全車種にEVなどの電動車モデルを設定する方針を表明。新技術の開発や電動車の生産には新たに多額の投資が必要で、収益を圧迫するという危機感は強い。米アマゾンなどの事業者向けに商用EVのサービス基盤を提供する方針を示したのも、新しい収益源を模索しているからだ。

 ◆“人への投資”重要

 また昨年の春闘をみるとトヨタ自動車労組の場合、子育て世代への手当の拡充で計2400円の賃金改善を確保できたものの、ベアは月額1300円にとどまり、前年の1500円を割り込んでいる。中央委で鶴岡氏は、「例年以上に厳しい交渉になる」と強調。「働く者にしっかりと報い、意欲を最大限に引き出していくことが、強みを発揮し続ける原動力となる」と、“人への投資”の重要性を訴えた。

 一時金(賞与)の要求基準は年間5カ月。全トヨタ労連はトヨタ自動車労組だけでなく、系列の部品メーカーなどの労組も傘下に持ち、組合員数は約34万人。加盟組合間や正規・非正規従業員の格差是正も進めたい考えだ。(高橋寛次)

最終更新:1/13(土) 7:15
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