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終わりなきチャレンジを続けるMr.Children、24年目の記録

1/12(金) 10:30配信

エキサイトミュージック

2017年にメジャーデビュー25周年を迎えたMr.Children。夏にはバンド史上最大規模となるドーム&スタジアムツアー『Mr.Children DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25』を開催し、国民的モンスターバンドらしく、大勢のファンとともに華々しくお祝いをした。だがその数ヶ月前まで、彼らは数千人の観客を前に、全国各地のホール会場を巡ってライブを行っていた。それは、25周年を迎える彼らが“やり残したこと”だったという。そのライブの模様と、それにまつわるドキュメンタリー映像を収録したDVD&Blu-ray『Mr.Children、ヒカリノアトリエで虹の絵を描く』が12月20日に発売となった。

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2016年4月15日に山梨 コラニー文化ホールからスタートし、11月21日の神奈川 鎌倉芸術館まで、全国28カ所28公演を行った『Mr.Children Hall Tour 2016 虹』。続いて、2017年3月4日の東京 オリンパスホール八王子から、振替公演となった5月12日の三重 三重県文化会館大ホールまで、全国13カ所14公演を行った『Mr.Children Hall Tour 2017 ヒカリノアトリエ』。このホールツアーはデビューからわずか数年でブレイクを果たし、それからは主にアリーナやドーム、スタジアムといった場所でライブを行ってきたMr.Childrenにとって、実に22年ぶりの出来ごと。それゆえに“やり残したこと”だった。

本映像作品はライブ映像からではなく、このツアーに向けて2016年初めにメンバー4人で行われたリハーサルの様子から始まる。そこからライブの進行にツアーでの出来ごとをリンクさせながら、一本のライブを観終わると、ツアーの準備から終了までの約17カ月間に及ぶバンドの物語も終わる。またそこにはナレーションやインタビューなどはなく、その場で起こったことだけが集められているので、観る人それぞれがMr.Childrenというバンドのすぐ傍にいて、目の前で起こったことを自分の感覚で受け止められるものとなっている。

そういった意味で、今作についてはまさに十人十色の感想を持つだろう。例えるなら、渋谷のスクランブル交差点のライブ映像を背景に行われている天気予報のようと言うか。大多数の人は天気予報を見るとは思うが、その間にも“あんなコート着るほど今日は寒いのか”とか、“あの看板のドラマいつから始まるんだろう”とか。自分が何に興味を持ち、どんな立場でそれを観ているかによって見えてくるものが変わってくる。だから、これから記すことはあくまで私の個人的感想に過ぎないのだが、私なりの見どころを4つ紹介したいと思う。

■「チャレンジして行った方が面白い」

今回のツアーをどういうものにして行くか、という話し合いをメンバー4人でする中で、田原(G)が発し、他の3人も深く同意していた言葉だ。私はMr.Childrenがこの25年間、人々から愛し続けられている理由の一つがこれだと思っている。冒頭に彼らを形容する言葉で“モンスター”と書いたが、モンスターが生まれることは突然変異的な偶然や運気の巡り合わせなどで起こるかも知れないが、生き続けることは難しい。時が経てば世の中が変わって行くことは必然で、Mr.Childrenの1stシングル『君がいた夏』も発売時はいわゆる“8cmCD”と呼ばれるものだったが、今や、その形状がないばかりか、シングルCDのリリース自体が減っている。そうやって世の中は変化していくのに、Mr.Childrenがモンスターであり続けているのは、彼らが変わらないものを届け続けているようで、常に“チャレンジ”し、変化し続けていることに他ならない。今なお“チャレンジ”を“面白い”と言える彼らは、やっぱりスゴイ。

■「俺らは喜んでくれるっていう方に心を動かしたい」

2016年4月14日に発生した熊本地震。その数日後の4月22日に宮崎、24日に佐賀で公演が行われた。実際に50人くらいの人たちがチケットを持っていても、その日のライブに来ることができなかったが、Mr.Childrenはライブを“やる”ことを選んだ。その理由が桜井(Vo)が言葉にしたこの思いだった。これはメンバー、スタッフに対して発した言葉だったが、当日のMCでも同様の内容を話しており、人に嫌われないようにする(中止にする)という方法もあるけど、こちらを選びたい、と。そして観客には「めいっぱい楽しくやりたい」と伝えた。もちろんこの選択には賛否両論あるのだろうけど、少なくとも思うべき人を一番に思っての結果だったことは間違いないだろう。

■2017年5月10日

2017年5月10日。1992年5月10日にアルバム『EVERYTHING』でデビューしたMr.Childrenにとって、まさにこの日が25周年当日。しかも当初はライブの予定ではなく、3月16日にライブの途中で桜井の声が出なくなってしまい中止となった愛知 名古屋国際会議場での振替公演という巡り合わせ。いやがおうにも何かを感じずにはいられない。中止となったその日の様子も生々しく記録されていて、そこから迎えたこの日。実際には数千人しか体験することができなかった瞬間を、映像を通して感じることができる。

■「終わりなき旅」

このツアーの本編最後に歌われていた「終わりなき旅」。そしてこの曲は、このあとに行われたドーム&スタジアムツアー“Thanksgiving 25”でも、アンコールの最後に「この曲だけは過去じゃなくて、みんなにとっても、僕らにとっても、ただただ未来だけを見据えて」(桜井)と言って歌われていた。中止になった3月のライブのとき、田原が客席に「桜井が歌えなくなってしまったらMr.Childrenは終わってしまう」と言って謝っていたが、私はこの曲を聴くと、いつも“Mr.Childrenは終わらない”と思える。もちろん世の中に終わらないものなどないのだけれど、Mr.Childrenは“終わりなき旅”をこれからも続けて行ってくれるはずだ、と思える。

この他にも、ライブの模様はもちろんのこと、普段は絶対に聴くことのできないリハーサルでの生の出音が聴けたり(通常、ライブやCDでは音のバランスが調整されているので)、『ヒカリノアトリエ』がどんな風にレコーディングされたのかが見れたり、見どころは多々ある。そして、このホールツアーの後には“Thanksgiving 25”が……きっとこの作品も出ると思うが(出ないと困る(笑))、あれだけ大勢の人を喜ばせることができるモンスターバンドの24年目の終わらないチャレンジをぜひ皆さんそれぞれの感覚で感じてみて欲しい。

Writer:瀧本幸恵

≪リリース情報≫
DVD&Blu-ray
『Mr.Children、ヒカリノアトリエで虹の絵を描く』
2017.12.20リリース