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有馬人形筆、再興へ一歩 火災乗り越え共同店舗オープン

1/12(金) 12:24配信

神戸新聞NEXT

 2016年11月に神戸市北区の有馬温泉街で起きた火災で焼失した伝統工芸品「有馬人形筆」の工房兼店舗が共同店舗として再建され、12日、新たなスタートを切った。竣工式には「灰吹屋西田筆店」7代目夫婦の西田健一郎さん(71)と明子さん(72)ら関係者約50人が出席し、1年2カ月ぶりの営業再開を祝った。

 火災は一昨年11月11日未明に発生。有馬人形筆の唯一の工房だった西田筆店など計4棟を焼き、火元とみられる住宅の女性1人が亡くなった。

 西田さん夫婦は再建を一時諦めかけたが、地元の旅館経営者らから共同店舗の話が持ち上がり、江戸時代の同温泉街の最盛期を表す言葉になぞらえた「有馬千軒再生事業」として、復興に向けて動き出した。西田さん夫婦も火災後に移り住んだ自宅で人形筆の制作を続けていた。

 敷地面積約350平方メートルの共同店舗は周囲の景観に配慮した日本家屋風の木造2階建て。壁には耐熱素材を使用し、店内にスプリンクラーを設置した。喫茶店や土産物店、素泊まりができる宿泊施設なども入り、それぞれ準備が整い次第、営業を始める。

 西田筆店には鮮やかな柄の人形筆が並べられ、早速観光客らが訪れた。健一郎さんは「復興に尽力してくれた人たちのためにも、温泉街の繁栄に力添えできるよう人形筆制作を頑張りたい」と話した。(村上晃宏)


 【有馬人形筆】筆先を下に向けると、筆軸から愛らしい豆人形が顔を出すからくり仕掛けの筆。7世紀に孝徳天皇が有馬温泉を訪れた後、有間皇子が誕生した伝承から着想を得て、1559年に神戸の人形師が考案したとされる。豆人形が出たり引っ込んだりする仕掛けが、温泉につかる様子を再現している。筆軸に細い絹糸を何重にも巻いて仕上げた華やかな模様が特徴。1993年に兵庫県指定の伝統的工芸品になった。

最終更新:1/12(金) 18:05
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