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<伝統工芸品>再生「有馬人形筆」 仲間の励まし背に 神戸

1/12(金) 14:20配信

毎日新聞

 ◇温泉街火災から14カ月

 神戸市北区の有馬温泉街で2016年に起きた火災で、延焼の被害を受けた兵庫県指定伝統的工芸品「有馬人形筆」の唯一の工房兼店舗「灰吹屋(はいふきや)西田筆店」が12日、跡地での再建を果たした。7代目の西田健一郎さん(71)は「先祖が守り継いできた人形筆をよみがえらせ、皆さんの温かい思いに応えたい」と話している。

 人形筆は、筆先を下に向けると、筆尻から人形が飛び出す仕掛けで、室町時代が起源とされる。筆の軸には色鮮やかな絹糸が巻かれ、有馬の名産品として知られる。

 作り手が途絶えた時期もあったが、西田さんの祖父が戦後、5代目として復活させた。その後は母光子さん(16年2月死去)が6代目となり、西田さんと妻明子さん(72)ら家族、近隣の女性たちの内職と分業で作り継がれてきた。

 ところが16年11月11日未明、火災が発生。火元の民家や西田筆店など4軒、約600平方メートルが焼失した。代々の家と店を失った西田さんは「再開の気持ちはあっても、体が動かなかった」と当時のショックを振り返る。

 それでも、温泉街の旅館経営者らが跡地に計画してくれた共同店舗の建設工事が昨夏に始まると、背中を押されるように道具を改めて買いそろえた。昨年12月には、郷土玩具「神戸人形」を再興させた吉田太郎さん(48)から、人形筆をあしらった神戸人形を贈られ、心が奮い立った。

 西田さんは「温泉街の仲間や吉田さんの励ましでこの日を迎えることができた。吉田さんが神戸人形を復活させたように、人形筆も次世代に残していきたい」と意気込んでいる。【木田智佳子】

最終更新:1/12(金) 14:32
毎日新聞