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ファーウェイ呉波氏が語った日本キャリア向けスマホ戦略

1/12(金) 12:38配信

Impress Watch

 米国では、2月に予約開始を控えるMate 10 Pro。CESでの基調講演直前に、米キャリアAT&Tでの取り扱いが白紙撤回になってしまい、ファーウェイにとっては波乱の幕開けとなったが(※関連記事)、同社ブースでは、予定通り、同モデルやMate 10のポルシェデザインモデルを大々的に展示していた。またブースには、1月に日本でauから発売されることが決まった「nova 2」のグローバルモデルも展示されていた。

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 大手キャリアとの関係強化という点では、日米で明暗が分かれた格好になるファーウェイ。日本ではSIMフリー市場で着実に販売台数やシェアを伸ばし、auでのスマートフォン発売を実現。2018年は、さらにその存在感を大きくすることになりそうだ。そのファーウェイのデバイス部門で、日本・韓国リージョンのプレジデントを務める呉波(ゴ・ハ)氏が、CESで、キャリアモデルへの取り組みについて報道陣からの質問に答えた。

――auからnova 2が発売されることが決まった。まずは、これについて語ってほしい。

 nova 2は、2018年3月の商戦期を目指して発表したものだ。KDDIとファーウェイは、これまで7、8年の協力関係がある。スマートフォンが採用された理由は、ブランドが立ち上がってきたことや、SIMフリー市場での販売が好調なことがあるが、auから発売されればより多くのユーザーを囲い込める。KDDIにとってはファーウェイブランドのスマートフォンを採用するのは初の試みになり、弊社としても期待をしている。

――ハイエンドではなく、ミドルレンジの製品が採用になった。これはなぜか。

 どのシリーズを出すかの話になったとき、auが、ターゲットとするユーザーを若者だと決めていたからだ。novaは若者向けのシリーズということで採用に至った。弊社が選んだわけではなく、あくまでKDDIの戦略に合わせて製品を提供している。

――SIMフリーで出していたnovaと比べ、ボリュームは増える見込みなのか。

 もちろん、ヒット商品になってほしいと願っている。日本のスマートフォンは、全体の90%がキャリアを通して販売されている。KDDIとは良好な関係を築き上げることが大切だ。数でいえば、グレードが違うことになるだろう。

――ハイエンドモデルはどうしていくのか。

 スマートフォンに関して、KDDIと長期的な関係を築けることを願っている。KDDIとは、データ通信用端末で関係を継続してきた。スマートフォンに関しても、同じような協力関係にしていきたい。

 今後、auを通してハイエンドモデルが採用されるかどうかは、両社の間で、どのような消費者をターゲットにするのかで決まることだ。我々よりも、KDDIの方が消費者を理解しているので、あくまでauについていく形で協力しようと考えている。

――なぜこのタイミングでキャリアモデルなのか。

 novaシリーズは、弊社の中で、フラッグシップより一段低い、“ライトフラッグシップ”と位置付けられている。SIMフリー市場でnovaシリーズを販売して、好評を博してきた。しかも若者向けということで、KDDIと話をしているときにも、すぐにマッチポイントを見つけられた。発売のタイミングは、あくまでKDDIに合わせている。

――やはりSIMフリーでの成功が大きかったのか。

 それも採用理由の1つだと思う。会社としての知名度や認知度も、どんどん上がってきている。キャリアとの協業は、SIMフリーの延長線上にある。一方で、日本の通信事業者とは、過去10年間、継続して協力関係を築き上げてきた。

――キャリアに採用されたことで、SIMフリー側の販売戦略に何か影響はあるのか。たとえば、novaがSIMフリーで出なくなるなどだ。変化を教えてほしい。

 nova liteに関しては、引き続きSIMフリーとして販売していく予定だ。一方で、novaに関しては、日本のSIMフリー市場で販売する計画はない。

 というのも、novaと同じ価格帯の商品として、2017年末に「Mate 10 lite」を出しているからだ。2018年はnovaがない代わりに、Mate 10 liteでその穴を埋めていく。SIMフリー市場で販売してきたその他のシリーズについては、2018年も引き続き継続していきたい。

――つまり、キャリアとSIMフリーでは、それぞれ異なるラインナップにしていくということか。

 同じシリーズの中でも、型番によって、これはSIMフリー、これはキャリアモデルというように分けていく。これは、ほかの日本メーカーもやっていることだ。郷に入りては郷に従えということわざがあるが、我々も市場の商習慣にのっとって事業を進めていきたい。他社を見習うことは必要だ。

――iPhoneやXperiaのように、複数キャリアで同じ商品を展開することはあるのか。それとも、キャリアごとに出す商品を変えていくのか。

 社内では、2つの方法を議論している。アップルやソニーのやり方は前者で、日本市場で大きな成功を収めている。しかしながら、富士通や京セラ、その他の海外メーカーは後者の戦略を取り、きちんと成功している。我々端末メーカーには、どちらの選択肢もあると考えている。

――軸足が、キャリアモデルに移るということになるのか。

 SIMフリーは、取り組みが減るどころか、さらに拡大していくつもりだ。これは会社としての方針で、仮に私がトップではなくなっても、後任者が同じポリシーで事業を続ける。そもそもファーウェイのスマートフォンビジネスは、グローバルだとオープンマーケットをメインにしている。

――同じ中国メーカーのZTEは、共同開発に力を入れている。ファーウェイはどうか。

 日本市場に向けた、キャリアを通して販売されるスマートフォンは、あくまでキャリアと共同開発という位置づけになる。auから発売されるnovaも、弊社のnovaではあるが、グローバルのnovaとは本質的に異なる部分がある。

――どの点が違うのか。

 ソフトウェアがまったく異なる。ユーザーインターフェイスもそうだし、ダイヤラーやショートメッセージなどの下位レイヤーのプロトコルも違っている。VoLTEもそうだ。

――キャリア仕様にするのは、どのメーカーもやっている。共同企画まで踏み込むつもりはあるのか。

 その意味では弊社の「dタブ」も、コンセプト段階からドコモと一緒にやっている。「SoftBank Air」もそうだ。過去10年を振り返ると、こういったビジネスモデルを取ることも多い。ドコモから発売されていたキッズケータイもそうで、三世代連続で弊社が手掛けている。さらに昔あったデジタルフォトフレームも、ソフトバンクが発案したものだ。あれは孫(正義)さんが発案したもので、当時、直接会って「こういうものにしてほしい」と語られたことを覚えている。

――auから発売されることで、ほかのキャリアには何か影響が出ると考えているのか。

 影響はどうしても避けられないと思っている。ただ、その度合いに関しては、CESが終わり、日本に戻ったら自分の目で確認したい。KDDIとは今回初めてスマートフォンをやることになったが、非常に戦略的な意味を持っている。これで、弊社は3大キャリアでスマートフォンに対する経験を積むことができた。それぞれのキャリアには独自のプロトコルがあるが、それをすべてグローバルモデルにも反映させることができる。

――FeliCaとHuawei Payを統合して端末に搭載するという話があったが、nova 2には載っていない。あれはキャリアモデルでの話なのか。

 キャリアを通して販売されるファーウェイのスマートフォンは、キャリアのサービスを使うことになる。キャリアのスマートフォンがファーウェイのクラウドサービスにつながることはない。キャリアのスマートフォンには、キャリアのユーザーインターフェイスとアプリなどの要件があり、それに沿って作らなければならないからだ。

 一方で、SIMフリースマートフォンにはクラウドサービスを提供する計画がある。今後、FeliCaに対応していく、その前提としてクラウドサービスを開始する予定だ。

ケータイ Watch,石野 純也

最終更新:1/12(金) 12:38
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