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2018年の中国経済は「戌笑う」となるか リスクはトランプ?北の核?ゾンビ企業?

1/12(金) 10:19配信

産経新聞

 中国では昨年10月に最高指導部人事などを決める5年に一度の共産党大会が開かれ、習近平体制が2期目に入った。習近平総書記(国家主席)が権力集中を一段と進め、経済政策の面でもどのようなかじ取りを行っていくのか注目される。今年の干支(えと)である戌年は日本の相場格言では「戌笑う」と言われているが、中国経済も「笑う」1年になるのか、それとも「泣く」1年になるのか。

■18年の中国経済の「3大リスク要因」

 「軽視してはいけない。中国経済に影響を与えるかもしれない一連の要因が存在している」

 中国のニュースサイト「中国新聞網」は、このほど「2018年、中国経済に影響を与えるかもしれない3大外部要因」と題した記事を掲載した。

 この記事では、18年の中国経済のリスク要因になり得る3要素として「経済」「経済以外」「米国」を示し、それぞれについて細かく説明した。

 「経済要素」としては、世界経済の動向に警戒感を示す。具体的には欧米経済や原油価格の動向、また日本経済の先行きなどを例示している。

 「経済以外」は地政学リスクだ。その中で、中東情勢やジンバブエなどのアフリカ政治、欧米でのテロ事件などを挙げたが、「より直接的な影響がある」として、北朝鮮の核問題や米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備問題、日本との関係、南シナ海問題と東南アジア各国との関係-について特筆した。

 「米国要素」は、米中間で新たな火種となっている通商問題や、米連邦準備制度理事会(FRB)の新議長の下での金融政策が人民元に与える影響を指摘している。

 同記事では対米関係について最も多く記述を裂いており、18年の中国経済を左右する要素として重視していることがうかがわれる。

■日本の経済人は「消費」に期待

 それでは、中国市場と向き合う日本の経済人は、18年の中国経済の先行きをどう見ているのか。

 1月5日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニの宴会場「鶴の間」で、経済3団体共催の新年祝賀パーティーが開かれた。経団連の榊原定征会長や安倍晋三首相ら政財界トップらが多く集まる会場で、18年の経済における重要な要素として中国の名を挙げる人が少なくなかった。

 「米中がぶつかるのが最も大きなリスクだ」

 サントリーホールディングスの新浪剛史社長は、18年の日本経済が抱えるリスクの一つとして米中関係を強調した。新浪氏は「北朝鮮問題も根っこは米国と中国との対立にある。米中が変な関係になって将来的に衝突することがないようにしてもらいたい」との見解を示した。

 新日鉄住金の進藤孝生社長は「今の中国は経済に自信を持ってきているが、不動産にバブル的な要素があるという人もいる。これがずっと続くのかどうか、相当注視している」と指摘した。

 ただ、経済人の間では18年の中国経済について比較的楽観的な見方が目立った。

 大和証券グループ本社の日比野隆司会長は「中国経済に関しては昨年10月の共産党大会後に『ガクッと来る』という見方もあったが、その後も良くコントロールされた状況が続いている。イノベーション(技術革新)や新たな産業勃興も進むなど、ダイナミックな動きが出ている」と期待を示した。

 とりわけ消費市場としては依然として期待感が強い。

 化粧品大手、資生堂の魚谷雅彦社長は「個人消費という側面を見てみると、昨年の一時期は落ち込んだが私たちの事業を見ても非常に強い基調が回復してきた。消費市場としてみれば、中国経済は大きな心配することはないと思っている」と発言。昨年、中国南京市に日系コンビニエンスストアとして初めて進出するなど中国事業を強化しているコンビニ大手、ローソンの竹増貞信社長も「やはり中国経済には力があり、基調が大きくぶれることはない」と力を込めた。

■リスクは「内憂外患」

 最後に中国経済の専門家に見通しを聞いた。

 「18年は『新常態(ニューノーマル)』における安定を最優先させる年になる」

 丸紅経済研究所の李雪連シニア・アナリストは、高度成長時代に見切りをつけて低めの成長へかじを切った「新常態」が18年も経済の基調になると強調した。

 その上で、経済成長の減速要因として(1)自動車減税終了(2)不動産規制強化(3)鉄鋼やアルミなどの減産からなる大気汚染対策-の3点を挙げた。

 18年の中国経済のリスク要因については「内憂外患」と表現する。「内憂」は、赤字をタレ流し続けて本来は倒産するはずの「ゾンビ企業」などの企業債務問題だ。仮にゾンビ企業の破綻や不良債権問題が顕在化すれば、金融システムに大きな影響を与えると懸念する。一方の「外患」は17年も問題となった海外への資本流出だ。足元では一時期と比べて安定化しているが、トランプ米政権が昨年末に実現した税制改革も、中国へ流れていた投資が米国に回るリスクがあるなど、今年も注意が必要だと警戒する。

 李氏は17年の中国経済を振り返り、大気汚染などの環境対策と、鉄鋼などの過剰生産問題で「大胆な改革が着実に進められた一年だった」と評価する。その上で、18年については「多少、経済成長を犠牲にしてでも、中国政府の“アキレス腱”になっている過剰生産と環境という2大問題を一気に片付ける年にするのも手だ」との考えを強調した。

最終更新:1/12(金) 10:19
産経新聞