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(朝鮮日報日本語版) 【社説】「セウォル号から何も変わっていない」と訴えるビル火災遺族

1/12(金) 9:43配信

朝鮮日報日本語版

 忠清北道堤川市で発生した大規模火災の際、後から行われた検証で火災発生から7分後に消防隊が到着したことが分かったが、実際に人が集まる2階に隊員が救助に入ったのはそれから33分も過ぎた後だった。その間に2階では20人が犠牲になった。現場検証を行っている合同調査団は昨日「指揮官による状況の把握と指示の伝達がずさんだった」「人命救助の要請に直ちに応えない手抜きもあった」などと説明した。被災者の命を救えなかった問題を「ずさん」「手抜き」などの言葉で片付けられるだろうか。

 火災発生直後、消防署は「2階には多くの人が残っている」との連絡を何度も受けていた。ある犠牲者は電話で79回も「早く」と叫んでいた。消防署はこれを現場のリーダーに携帯電話で3回伝えたという。しかし「消防署は現場のリーダーや隊員たちにしっかりと状況を伝えなかった」という検証結果が今になって出てきた。常識的に考えて理解ができない。現場の隊員たちは2階の状況を把握していたが、自ら救助に向かうのを恐れたか、あるいは何か他の理由で救助ができなかったのではないか。実際に消防隊は到着から16分後に2階への突入をいったん試みたが、すぐに諦めてしまっていた。

 火災発生直後、隊員たちが2階のガラスを割って救助を行わなかったことも疑問として残っていた。これまで消防隊は「バックドラフト(急激な空気の流入で一気に火の手が上がること)を懸念した」と説明していたが、調査団は今回「指揮の力量不足が原因」と指摘した。火災発生直後、スプリンクラーは稼働せず、非常口は棚でふさがれていた。現場周辺の違法駐車で消防車は迂回(うかい)し、はしご車は操作が未熟で本来の機能を発揮できなかった。無線機もたびたび通信が途絶えたため、隊員たちは自らの携帯電話で情報をやりとりしていた。「ずさん」「手抜き」「無能」もここまで来たかと言わざるを得ない。

 今回の火災を通じ、韓国の消防隊員たちは普段から実践的な訓練を受けていないことが改めて分かった。当時の監視カメラ映像を見ると、まさに「右往左往」という言葉しか出てこない。建物全体を火の手が覆い、一見すると建物への接近は難しそうにも見えるが、実際の炎の幅は1-2メートルほどで、ガラスさえ割れば建物の中に入ることができたし、それを実行していれば20人を救出することができた。これはあり得ない想像だろうか。現場でのとっさの判断や行動は普段から同じ状況を想定した訓練があってこそ可能だ。遺族らは「セウォル号と何が違うのか」と涙ながらに訴えている。今回の火災を通じ、韓国社会は何も変わっていないことを改めて実感した。