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日本の自動車産業は世界に遅れをとってはいない、その強力な実例とは?

1/12(金) 13:01配信

carview!

世界を揺るがしたディーゼル事件を暴いたHORIBAの測定器

昨年末、滋賀県大津市にて2015年より稼働を開始した堀場製作所のフラッグシップ工場“HORIBA BIWAKO E-HARBOR”を見学し、トップに話を聞くという貴重な機会を得ることができた。今回はその話を…と考えていたのだが、その前にまず、皆さんは、堀場製作所という会社をご存知だろうか?

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コンシューマー向けの商品があるわけではないので、一般ユーザーにとっては馴染み深い社名ではないかもしれない。しかし実は堀場製作所=“HORIBA”と言えば、世界シェア80%を占めるエンジン排ガス測定装置を筆頭とする、自動車開発用の計測システムや車両開発エンジニアリングなどの分野で、世界の自動車産業にとって無くてはならない存在と言っていいほどの会社なのだ。

あるいは最近、その名を耳にしたことがあるとしたら…例のディーゼルゲートの時だろう。実はアメリカで当時のVW車の排ガス不正が暴き出されたのは、ウェストバージニア大学の研究者たちが、HORIBAの車載型排ガス測定器を車両に載せて、台上ではなく実際の走行状態での排ガス測定を行なったことがきっかけだったのである。

他にも環境計測用、医療用、半導体システム用などの計測機器を扱っているHORIBAだが、売り上げの4割近くを占めるのはやはり自動車関連事業だ。とは言え、時代は変化している。たとえば、主力の排ガス計測機器は、電動化時代には不要となっていくものかもしれない…と考えれば、当然新しい事業展開が求められる。

英の巨大施設買収で自動車開発の全領域の網羅を目指す

そこで2015年、HORIBAはイギリスのMIRA社の買収という大胆な施策に打って出て、世界の自動車業界を驚かせた。元々はイギリス政府の研究機関として設立されたMIRA社は、バーミンガム近郊の東京ドーム約60個分という広大な敷地に、高速から市街地を模したものまでの様々なテストコース、各種計測、分析システムなどを有する車両エンジニアリング、試験設備提供に関して世界でも五指に入るほどの巨大な施設を持つ。

イギリスの自動車ブランドの多くは、様々な領域の開発をここに委託している。自社で風洞設備を持たず、空力関連の開発はすべてここで行なっているブランドもあるほどだ。もちろん、顧客はイギリス国内だけには留まらない。まさに自動車業界にとって無くてはならない会社のひとつである。

ちなみにHORIBAのMIRA買収は、ディーゼルゲート発覚の直前の話であった。奇しくもHORIBAの排ガス測定器が大きな役割を果たしたディーゼルゲートによりEVの注目度が高まったわけだが、HORIBAの動きはそれに先んじていたわけだ。

MIRAの買収によりHORIBAは、車両の設計、エンジニアリング技術やテスト施設運営のノウハウを取得し、これらを今まで培ってきた計測、分析技術と組み合わせることにより、自動車開発の全領域を網羅できるようになった。特に、自動運転、電動化モビリティなど従来無かった、そして大きな将来性が見込める分野にまで、ビジネスの領域を拡大することが可能になったのは大きい。

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最終更新:1/12(金) 13:01
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