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果汁飲料、ビン・缶からペットボトルへ 三菱ケミカルが新タイプ

1/12(金) 16:37配信

日刊工業新聞電子版

■DLC薄膜でダントツのバリアー性、味・香り・強度維持

 三菱ケミカルは二酸化炭素(CO2)や酸素のバリアー性を高めたペットボトルを、レモンやオレンジなど果汁飲料に展開する。内側にダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)の薄膜を形成した構造で、味や香りの成分を吸着しにくい特性をあらためて訴求し、ガラス瓶や缶からの代替を促す。使い切るまで薬効成分を残す効果も期待できることから、医薬品の用途も開拓する。

 三菱ケミカルはこれまでDLCペットボトルの高いバリアー性を前面に打ち出し、鮮度を重視するワインや清酒、ビール、コーヒー豆といった容器への採用につなげてきた。ただ、最近は成分の吸着を抑える用途での引き合いも増加。これを踏まえ鮮度と味・香りの維持に加え、独自の薄膜技術で鮮やかな色味を損なわない利点も強調することにした。

 一方の医薬品向けは薬効成分によって効果が異なるほか、耐吸湿性など飲料用よりもう一段高いバリアー性が求められる。このため足元は製薬会社などと仕様を詰め、評価している段階だ。この先も複数の評価試験や生産技術への落とし込み、量産化対応などに時間を要する公算が大きいため、採用は早くても2020年以降になる見通し。

 生産能力の底上げも図る。現在は浅井事業所(滋賀県長浜市)と平塚事業所(神奈川県平塚市)の旧三菱樹脂の拠点で生産。13年に平塚の新ラインを稼働し生産能力を従来比2倍に高めたものの、需給が引き締まっている。このため数年後をめどに国内外でラインの新設・増設を検討。旧三菱化学や旧三菱レイヨンの拠点も視野に入れ、3社統合の効果も引き出す。

 DLCペットボトルは、内側に20ナノメートル(ナノは10億分の1)の炭素膜を形成してガラス瓶に近いバリアー性を備える。旧三菱樹脂がキリンビールなどと共同開発した。一般的なペットボトルに比べCO2で約7倍、酸素で約10倍、水蒸気で約5倍のバリアー性を持つ。ワインや清酒では、ガラス瓶と比較した際の軽さや割れにくさも評価された。