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山中慎介、ネリ専用武器の近距離型「神の左」手応え

1/12(金) 9:40配信

日刊スポーツ

 至近距離型「神の左」がうなる。ボクシングの前WBC世界バンタム級王者山中慎介(35=帝拳)が、王者ルイス・ネリ(メキシコ)との世界戦(3月1日、両国国技館)へ新たな左ストレートを用意した。昨年8月に4回TKO負けでV13を阻まれた因縁の相手との再戦。接近戦からの連打で勢いづかせた反省を生かし、これまでにはない距離からの左で雪辱を果たす。

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 山中の左腕がたたまれ、従来の軌道とは違う左拳が次々にミットをとらえた。「今日は7割の力」と言うが、さく裂音がジムに響く。田中トレーナーとの距離は、V13戦までの練習ではほぼなかった至近距離。「ネリと戦ってみて、必要なパンチだと。左腕を折りたたんでも打てるようになってきた」と自信が宿る。

 KOの山を築いた「神の左」、最大の特徴はまねできない距離感だった。通常とは30センチ以上遠い距離からの一撃。左足で力強くリングを蹴り、大胆に踏み込むからこそ可能で、反動で得た力を上半身に伝えることで威力を生み出してきた。翻れば、相手が予想しない遠距離からの伸びるパンチが、山中の真骨頂だった。

 今回のネリ専用武器は、踏み込まない。すでに距離が近いため、蹴り足は使わずに、左腕もコンパクトに回す。昨年から取り組み、当初は戸惑いもあったが、ここにきて手応えがあるという。前回は回転の速い連打で迫り来るネリに対し、距離を取ろうと体をのけぞらすので手いっぱいだった。「今回はそこでも防御してから打ち込むなどを考えている」とイメージする。

 もちろん、本来の「神の左」の距離が戦いのベースにはなる。「近すぎばかりでもしょうがない。バランスですね」と、プラスアルファとして装填(そうてん)する。再戦の妙味は、敗戦の原因を分析し、改善し、新境地をみせる瞬間にこそある。黙々とミットを打ち抜く35歳には、その予感が大いに漂う。【阿部健吾】

最終更新:1/12(金) 9:58
日刊スポーツ