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非正規社員の無期転換「理解していない」2割 佐賀県内企業

1/12(金) 14:33配信

佐賀新聞

 有期雇用の非正規社員が通算5年を超えて働くと無期雇用に転換できる労働契約法の「無期転換ルール」について、佐賀県内企業の理解が十分に進んでいないことが、佐賀新聞社の調査で分かった。2割近くの企業がルールを「理解していない」と回答した。雇用安定を目的に4月からルール適用が始まるが、浸透までに時間がかかりそうだ。

 無期転換ルールは2013年施行の改正労働契約法に盛り込まれ、同年4月以降に契約した有期雇用の社員が対象になる。同じ会社で契約更新を繰り返して通算5年を超えた場合、本人の申請に基づき、正社員と同じように契約更新の必要がない無期雇用として定年まで働けるようになる。

 今回の調査では、このルールを「理解していない」と答えた企業が3・0%、「あまり理解していない」が15・3%だった。縫製や卸売、医薬品製造などで理解不足が顕著だった。「ある程度理解している」は54・1%、「よく理解している」は27・6%だった。

 有期契約社員を雇用している企業は69・4%に上り、うち6割でルールが適用される社員がいることが分かった。陶磁器製造や印刷の全社、機械金属、食品製造、金融、運輸・通信の8割に対象者がいた。

 今後の対応については、「対象者から申し込みがあれば転換する」が50・0%で最も多かった。「無期転換の条件を独自に定め、満たせば5年以内でも転換する」が18・3%、「分からない」が11・7%で続き、6・7%が「有期雇用が通算5年を超えないよう運用を見直す」とした。

 対象者にルールを説明するかに関しては、6・3%が「しない」と回答した。「予定している」は50・8%で、「周知済み」は19・0%にとどまった。

 無期転換のメリット(複数回答)は「業務に習熟した人材確保」が63・7%で最も多かった。「定着率の向上」が53・8%、「社員のやる気向上」が49・5%で続いた。デメリット(同)は、「不況や閑散期に雇用調整が難しくなる」が59・3%でトップ。「労働条件・賃金設定が難しい」が50・5%、「人件費などコスト増」と「有期雇用の契約更新、無期転換基準の設定が難しい」がそれぞれ35・2%だった。

 調査は昨年10月中旬から11月上旬にかけ、県内に本社や事業所を置く200社に実施し、98社が回答した。

 ルール義務付けに賛否 雇用安定は不透明

 非正規社員として5年超勤務した人の無期雇用を企業に義務付ける「無期転換ルール」。スタートまで3カ月を切る中、佐賀新聞社の調査では、人手不足対策になると前向きに捉える企業がある一方、雇用調整がしにくくなるとして対応に消極的な企業も見られ、雇用の安定につながるかは不透明だ。

 調査では、半数以上が無期転換により社員のやる気を引き上げ、人材定着率向上、業務に習熟した人材の確保につながると答えた。佐賀市の機械メーカーは「雇用が安定すれば家庭を持つ人が増えて少子化が解消し、消費が上向くきっかけにもなる」と評価した。

 一方、労働条件や賃金の設定、不況時の雇用調整が難しくなると答えた企業も目立った。「一律適用はリスクがある。能力や勤務態度、年齢などを見て個別に対応したい」(衣料製造)との意見もあった。

 対応に二の足を踏む企業は多く、有期雇用が通算5年を超えないように運用を見直すとの回答も6・7%あった。県東部の食品メーカーは「景気の変動には増産、減産で対応する。無期転換になれば人員調整や高年齢者の定年再雇用が難しくなる」と説明した。

 無期転換は労働者から申し込むことが用件。周知が課題になっているが、6・3%は対象者にルールを説明しないとした。

 佐賀労働局は「法的に義務付けていないが、トラブルを防ぐために説明するのが望ましい」と指摘。ルールへの対応については「非正規社員を雇用の調整弁と考えるのは間違っている。雇い止めの不安を解消し、雇用を安定させる法の趣旨を企業訪問などで周知したい」と話す。

最終更新:1/12(金) 14:33
佐賀新聞