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無抵抗は同情を買うためか 貴乃花親方“沈黙”に透ける限界

1/13(土) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 沈黙は金なりとのことわざもあるが、それも時と場合によりけりだ。

 昨11日に行われた宮内庁の定例会見。山本長官は1月場所に天皇皇后両陛下が出席する予定だった天覧相撲について、相撲協会側から「昨今の情勢を踏まえて辞退する」と申し出があったことを発表した。すでに両陛下への報告は済んでおり、山本長官は「残念に思っておられるだろう」と話した。

 天覧相撲はここ最近では、相撲協会が公益財団法人に移行した翌年の15年から、3年連続で行われてきた。過去には八百長騒動などの不祥事で辞退したこともあった。それだけに協会は無念だろうが、それも当然だ。

 昨年11月場所中に現役横綱だった日馬富士の暴行事件が発覚すると、その後も白鵬の身勝手な「万歳三唱」などもあり、協会は大混乱。そして立行司である式守伊之助のセクハラ事件がトドメを刺した。

 一連の騒動についてはとりわけ貴乃花親方(45)の責任も大きい。日馬富士暴行事件では協会執行部に公然と反旗を翻し、真相解明の遅れにつながった。

 貴乃花親方は終始一貫して寡黙だった。昨年12月20日の理事会でも、ほぼ無抵抗。何を聞かれても「いいえ」「特には」「別に」を連発。暴力再発防止策について何か案はないかと名指しされたときですら「特にありません」と答え、出席した理事らの口をあんぐりさせた。

■反論は文書のみ

 貴乃花一門の親方も同様だ。さる4日の評議員会では一門で評議員の大嶽親方(元十両大竜)でさえ、「いたしかたありません」と、理事解任の処分に賛成の挙手を行ったという。

 貴乃花親方も貴乃花一派の評議員も、「理事解任」の処分をあっさり受け入れた。それでいて12月20日の理事会では自分は巡業部長としての務めを果たしている、だから批判されるいわれはないなどと記した文書を配布した。自分は悪くないと本気で考えているのなら、文書だけでなく改めて言葉で主張すればよい。なのに、それすらしなかった。

 貴乃花一門に所属する評議員の大嶽親方にしても、一門のボスが潔白だと思っているなら、評議員会で徹底抗戦してしかるべき。同じく評議員である二子山親方(元大関雅山)も貴乃花一派。当日の評議員会に出席したのは5人。2対2で議長決裁に持ち込めたのに、それをしようとはしなかった。

 一派の連中はすっかり白旗を揚げているように見えて、しかし、貴乃花親方は“徳俵”では粘り腰を発揮している。理事会前日になって急きょ、貴ノ岩の聴取に応じたり、親方でひとり未提出だった弟子の入門時の誓約書を協会に出したりした。理事会で文書を配布したのもある意味、粘り腰だろう。

 文書で刃を向けているものの、かといって協会を脱退する覚悟で徹底して反旗を翻しているわけではない。だからなのか、一部の親方からはこんな声も上がっている。

「貴乃花一派は執行部の横暴で理事を強引に解任されたというイメージを定着させたい。要するに自分たちは被害者だという世間の同情を買いたいのでしょう。ひょっとしたら実質的には理事解任よりこたえる業務停止処分まで覚悟していたのではないか。例えば2カ月間の業務停止になった場合、2月の理事選に立候補することもできませんからね。もっとも、仮に新たに理事になったところで、おそらく一派の理事は本人ひとり。理事長の座を狙えるはずもない。それならいまは臥薪嘗胆、あえて冷や飯を食うことで世の人々の歓心を買うのが得策と判断したのかもしれません」

 あるいは貴乃花親方も一派の評議員も、単に他の理事や評議員たちを説得するだけの言葉も材料も持っていなかっただけなのか。

 いずれにせよ、言いたいことは紙に書いたからあとは読んでくれという態度では、主義や主張は伝わらない。本当に自分に非がないと思っているのなら、話し合いの場で説明や説得をすることが不可欠。一部メディアを使った情報操作だけでは説得力に欠けるし、限界がある。そんな手法も協会内での勢力減につながっている。