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未知の分野開拓 原発事故機に廃炉ロボットの可能性追求 福島・広野町のエイブル

1/13(土) 10:11配信

産経新聞

 「電力系の会社勤めで体得した知識を生かして、社会の役に立ちたい」。一念発起した佐藤順(ゆき)英(ひで)さん(61)は平成4年4月、一人で会社を立ち上げた。「不可能を可能にする」。be able to=can(できる)。社名に、この信念を込めた。

 原発など発電プラントのメンテナンスを中心に手掛け、活動の領域を徐々に広げた。創業から約20年。3・11は「さらに業態を拡大できると思った矢先のことだった」と佐藤社長は振り返る。

 震災直後から、東京電力福島第1原発への対応に当たり、ロボット開発にも取り組んだ。大手企業が3年かかるといったポンプ交換用のロボットを、わずか半年で完成させた。佐藤社長はいう。「ロボットは未知の分野。でも、当社には多くの作業員がいて、現場の事情を熟知している。この情報の積み重ねが、大手にはできないことを『可能』にした」

 ロボット事業は、廃炉関連に限らず「一般産業や農業用、省力化ロボットなども開発中」という。5年後には、売上高の30~50%を占める主力事業に育てる考えだ。

 震災を機に、再生可能エネルギー事業にも力を注ぐようになった。来年には木質ペレットを燃料とした国内最大級のバイオマス発電所建設を開始、平成34年の稼働を目指す。出力は11万2千キロワットで、いわき市の全世帯分をまかなえる電力量に相当するという。また、ヤシの実(パーム)油を使った発電所は2020東京五輪に合わせて稼働を始めるという。(福島支局 竹中岳彦)

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 ■佐藤順(ゆき)英(ひで)社長に聞く

 --やはり、震災は大きな転機になった

 「価値観が変わった。震災以降、やっていることがすべて、「人間愛」につながると強く意識するようになった。ロボットというと、冷たく機械的に感じるが、ソフトもハードも必要で、まさに「ヒューマンウエア」だと思っている。愛のある生き方を通し、多くの人に勇気を与えられる会社にしたい。信念があればできる、と思っている」

 --復興には、どんな思いで取り組んでいるのか

 「インフラだけでなく、人の心の復興も大切。人それぞれ思いはあるが、過去は戻らない。こういうときこそ、若者も年配者も、みんな希望を持って、新しい時代に向かって進み、成果を出していくことが必要だと感じている」

 --そのためには何が必要か

 「国が国民に何をするか、ではない。国民一人一人が国のために何ができるか、という考え方が大切。今こそ、被災地から何ができるか、できることをやれば、復興に貢献できる。日本の会社の99%は中小企業。みんなこの思いでがんばれば、日本も世界も、もっとよくなるはずだ」

 --現在、本社機能を福島県大熊町から、広野町の事務所に移している

 「一時はいわき市に移し、平成24年に広野事務所へ本社機能を置いた。いずれは大熊町の本社に戻る。それまで、“エイブル丸”は希望を持って航海を続ける。その先には、きっといい世界が待っている」

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 【エイブル】現在の本社機能は、広野事務所(福島県広野町上北迫岩沢1-9、(電)0240・25・8996)に置く。プラントの保守・点検、ロボット設計・開発・製造、発電事業などを手掛ける。平成4年4月創業、従業員200人。HPは、http://www.ablfukushima.co.jp

最終更新:1/13(土) 10:11
産経新聞