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元NASAのフライトディレクターが語る、危機的状況でも冷静さを保つ方法

1/13(土) 20:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

「シャトルを失うところだった」

管制センターは、ISSとスペースシャトルの両方のクルーを起こし、冷却ループの問題解決に当たらせた。エンジニアリングサポートチームは、原因を特定できなかった。ヒルとスタッフはデータをチェックした。管制センターを静寂が包んだ。

「全員がいつもより集中し、いつもより冷静だった。データをチェックし、必要な会話を交わし、音声システムを介してフライトディレクターと話し、物事を進めた」とヒル氏は語った。

クルーは2つの冷却ループを通常より高温にして稼働させることで問題を解決した。

最終的にディスカバリー号はミッションを完了し、無事、帰還した。その後、冷却システムを調査したところ、ループ内に過剰な水分が存在していたことが分かった。

「あの措置をとらなければ、我々はシャトルを失うところだった」とヒルは語った。

「トラブル発生がISSとのドッキングを解除した後だったら、あるいはISSから急いで離脱し、帰還を試みるといった無茶をしていたら、宇宙飛行士を失っていた可能性は大きい」

ミッションが完了すると、ISSのプログラムマネージャーがやってきて、管制センター全員の対応を称えた。

「その時、ようやく我に返って、こう思うことができた。『そのとおり、チームの皆はよくやっている。本当に優秀だ』と」

「その時までは、とにかく間違ってはいけない、何も見逃してはならないと必死だった」

パニックにならないための管制センターの戦略

この高い集中状態は、管制センターのスタッフが危機的な状況に対処する方法の1つ。「髪を振り乱して走り回る」のではなく、チームは以下のような問題に対処し続けるとヒルは語った。

・状況について、何を把握し、何を把握していないのか?

・データが実際に示していることは何か?

・この状況がもたらす最悪の結果は何か?

・メンバーは知り得た情報を確実に把握しているか? もっと情報を得る方法はないか?

・ミッションを継続するために、あるいは全員の安全を維持するために、すぐにできることはないか?

過去の取り組みや結果に捕われて、直面している危機に対する判断を歪ませないことも重要とヒル。それは、宇宙でのミッションでも、あなたのビジネスの立ち上げでも同じだ。

「トラブル状況にあるときは、悪いことが次々と起こり、急いで対策を取らなければならないと感じてしまう。そして多くの人は 『そう、こんな状況は前にも経験した。この対策はこれまでに3回やったことだ。いつも上手くいった。だから今回も上手くいくはずだ』と思ってしまう」

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最終更新:1/13(土) 20:10
BUSINESS INSIDER JAPAN