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記者が紹介・本の愉しみ/仁科邦男著「犬たちの明治維新」

1/13(土) 16:50配信

石巻かほく メディア猫の目

 戌(いぬ)年の2018年が明けた。今年は1868年に明治時代が幕を開けてから150年という節目となる。

 ということで、正月休みに読んだのが『犬たちの明治維新 ポチの誕生』。当時の日記や文学、新聞など膨大な史料を渉猟し、犬にとっての幕末明治を描く労作だ。

西郷どんの愛犬も登場

 もちろん、今年のNHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」の主人公西郷隆盛と犬の関係にも触れている。第4章のタイトルはずばり「西郷どんの犬」である。

 大河ドラマの初回は、東京・上野にある犬連れの銅像の除幕シーンで始まった。本書によると、銅像の犬は海軍中将・仁礼景範(にれかげのり)が飼っていた桜島産の犬をモデルにして作られた。西郷がウサギ狩りに使っていた薩摩犬の特徴をよく捉えているという。

 西郷像は、彫刻家の高村光雲が制作した。大河ドラマの除幕シーンでは、西郷どんの妻が「うちのだんなはんはこげな人ではなか」と語っていた。西郷は生涯、写真を残さなかったが、本書では銅像は「似ていた」として、その検証を試みている。

 西郷は西南戦争のさなか、常に愛犬を伴っていた。狩りをするための猟犬で、実際、一緒にウサギ狩りに行った人もいる。ではなぜ、西郷は犬を連れて戦争をしたのか。著者は彼の心意を読み解いて、「西南戦争を戦争だと考えていなかった」という結論を導き出す。

 このほか、吉田松陰や明治天皇といった当時を象徴する人々を取り上げ、犬の視点から歴史の意外な背景をあぶりだしていて興味深い。

 飼い主不明の犬を処分する「畜犬規則」により、それまで地域で飼われていた「里犬」が姿を消す。多くの洋犬が「ポチ」と名付けられ、犬の代名詞になる…。

 さまざまなエピソードから、明治維新は犬にとっても激動の時代だったと分かる。(古)