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平成世代に芽吹くソニー魂、社内ベンチャーで奮闘 新小型端末など事業化続々

1/14(日) 7:55配信

産経新聞

 ソニーがイノベーション(技術革新)創出に向け社内ベンチャーを次々に誕生させている。平井一夫社長の直轄組織が進める社内横断プロジェクトで、平成元年生まれの課長らが開発した新型端末などすでに13件が事業化された。業績は回復してきたものの大ヒット商品に欠けるソニー。新陳代謝の加速で第二の「ウォークマン」誕生に期待がかかる。(柳原一哉)

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 ソニー本社で12月に行われたウエアラブル端末「ウェナリスト」発表会。28歳で事業責任者を任される対馬哲平統括課長が壇上で新製品をアピールした。腕時計のバンド部分にセンサーなどを内蔵し電話の着信通知や電子決済の機能を搭載。ソニーのお家芸といえる小型端末だが、その出自は従来の事業部ではなく横断プロジェクト「シード・アクセラレーション・プログラム(SAP)」だ。

 対馬氏は入社直後の社内研修で試作品をつくり、始まったばかりのSAPに応募。試行錯誤の末にオーディションを突破しネット上で資金を募るクラウドファンディングで1億円以上を集め事業化に道を開いた。先の発表会では早くも第2弾が公開され、まさに社内ベンチャーの期待の星だ。

 SAPには26年4月から29年3月までに約1600人から約600件の事業アイデアが寄せられた。計9回のオーディションをくぐり抜け、ウェナリスト含め13件が事業化されている。

 オーディションで認められなければ活動資金も場所も提供されないだけに、事業化されたアイデアはいずれも個性が光る。口紅のような形状の本体から5種類の香りを出して楽しむ「アロマスティック」といった製品も登場した。

 ソニーにこうした起業家を育てる仕組みが必要なのは大企業病に見舞われたことが背景にある。SAPを統括する小田島伸至・統括部長は「実は社員の多くが机の下で事業アイデアをあたためている」と話す。ところが事業化となると、「会社は意思決定が遅すぎる」「事業部縦割りの会社では連携が取れない」などの声が出てなかなか実現に至らなかった。

 小田島氏は平井社長に、事業部にとらわれない斬新なアイデアを受け止め実現できる仕組みが必要と進言。平井社長も「そういうものがほしかった」と応じSAPが実現したという。

 対馬氏は「10人程度の社内ベンチャーは権限が委譲され決裁も早く小回りがきく。企業内なので蓄積されてきた知見も生かせるメリットがある」と話す。

 ただ、優等生のウェナリストでさえ収益への貢献はまだこれからだ。対馬氏は「次のソニーの柱となる事業に育てる」と前を向く。

 ソニーは30年3月期に過去最高益を見込み、犬型ロボットのアイボも復活させた。米アップルなど並み居る米IT企業の向こうを張る「次」は誕生するか。社内ベンチャーの成果が待たれる。

最終更新:1/14(日) 8:17
産経新聞