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イッタラなどと代理店契約終了、スキャンデックスが危惧する北欧ブランドの買収ラッシュ

1/14(日) 13:26配信

Fashionsnap.com

 松屋の子会社スキャンデックス社が、「イッタラ(iittala)」「アラビア(ARABIA)」などフィスカース社が展開する3ブランドの日本における代理店契約を終了した。いずれも多くのファンを抱える人気の北欧ブランドだが、契約終了に至った理由とは何だったのか。同社の転換期を支える伊東久美子執行役員によると、その背景には本国のものづくりにおける環境の変化が大きく影響したという。

【写真】マリメッコやイッタラと並ぶ人気ブランド「ペンティック」など展開商品

 スキャンデックス社は、親会社の松屋が1990年7月に設立。来年で75周年を迎えるデンマークの王室御用達ブランド「レ・クリント(LE KLINT)」を創業時から取り扱うなど、北欧やスカンディナヴィアのライフスタイルにいち早く目をつけた松屋のコアバリューを受け継ぎ、北欧ブランドに特化した商社として展開している。

 同社が代理店を務めてきたイッタラやアラビア、スウェーデンの「ロールストランド(Rorstand)」はいずれも人気ブランド。イッタラに関してはまだ日本では無名な時代から松屋が取り扱いを始め、通算60年以上にわたり関係を築き、スキャンデックス社の主力商品として育ててきた。そのブランドの代理店契約を終了した理由には本国の生産環境の変化が大きくあった。

 北欧ブランドは、本国の文化に根付いた製品づくりやブランドストーリーが高く評価されている一方で経営難に陥るところも多く、投資会社などが安価で買収するケースが相次いでいる。フィスカース社も同様で、イッタラを買収しリビング事業に参入した後はアラビア、ローストランド、「ロイヤル コペンハーゲン(Royal Copenhagen)」「ウェッジウッド(Wedgwood)」を立て続けに獲得した。これを機に生産環境が大きく変化。コスト削減のために生産拠点を海外に移し、観光スポットにもなっていた本国の工場を閉鎖したほか、100人以上の従業員をレイオフしたことも問題視された。伊東氏は「オーナーが変わるということは、経営方針の変化と同義。いろいろな意味においてブランド価値に影響を与える。特に日本は生産地や品質に対して厳しい目がある。お客様は製品だけを見ているのではなく、製品が持つ背景も大切にしている」とし、それらが包摂され、長年の代理店契約解消のポイントになったという。

 アパレルでも近年は「バルマン(BALMAIN)」や「ヨウジ ヤマモト(Yohji Yamamoto)」など、クリエーティブの分野では投資会社および異業種からの買収や投資が増えている。「トップが次々に代わってしまうと、ブランドを丁寧に育てるという観点から長期的にコミットできない」という考えから、スキャンデックス社はオーナーとともにブランドを中長期的に育てていけるかを強く重視。ブランドに対する愛情を確かめるために必ず現地の工場に訪れ、オーナーとは家族ぐるみの関係を築いているという。

 フィスカース社との契約終了を機に、新たにビジネスパートナーとして代理店契約を結んだのが、デンマークの「ステルトン(Stelton)」「リグティグ(RIGTIG)」「ジョージ ジェンセン(Georg Jensen)」(※リビングリビングコレクションのみの取り扱い)、フィンランドの「ペンティック(PENTIK)」、北欧の自然素材でチェアなどを製造する「エコファーン(EcoFurn)」、ムーミンなど北欧の有名なイラストやデザインの製品展開を行う「オプトデザイン(Opto design)」の計6ブランド。ジョージ ジェンセンはジュエリーやウオッチで有名だが、リビング商材は本国を中心に人気を博しており、日本初上陸となったペンティックは「マリメッコ(marimekko)」やイッタラと並ぶフィンランド三大テーブルウエアの一つとして知られているなど、いずれも海外で支持を得ている。

 今後はスキャンデックス社の直営店展開を進めつつ、各ブランドの直営店出店を計画しているほか、スキャンデックス社の全ブランドの製品を販売するECサイトを立ち上げる。フィスカース社とは代理店契約を終了したが、卸売としての製品の取り扱いは継続し、同ECサイトでも販売していくという。伊東氏は「スキャンデックスはこれまでイッタラのイメージが強かった。今後はパートナーであるブランドオーナーと共に各ブランドをしっかりと育てつつ、『スキャンデックス』の看板も全面的に出していく。北欧のデザインやその製品の持つストーリーを、当社の強みである編集力を生かして発信していきたい」と今後の方針を説明する。「2018年は新規ブランドを日本に根付かせる準備の年なので、2019年からその成果が表れてくるだろう。アパレルと同様にリビングも厳しい状況が強いられているが、短期的な売上至上主義にはなりたくない」。自国の職人の手仕事による丁寧なものづくりが、北欧ブランドの最大の特長。同社は今後も未上陸ブランドの展開も視野に、北欧デザインの本質を発信していく考えだ。

最終更新:1/14(日) 13:26
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