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社会的ハイリスク抱える妊産婦 岡山県産婦人科医会が調査

1/14(日) 9:00配信

山陽新聞デジタル

 岡山県内の妊産婦のうち、精神面でのサポートなど特別な支援が必要な“社会的ハイリスク妊産婦”が少なくとも数十人に1人おり、未婚や家族の支援不足など多くの要因が絡み合っていることが県産婦人科医会の調査結果で分かった。中には子どもへの虐待が懸念されるケースもあり、調査を担当した中塚幹也岡山大大学院保健学研究科教授は、医療と行政が連携して支援することが重要だと訴えている。

 同医会は、妊産婦健診の際に医師や看護師らが今後の育児への不安があると感じた場合に連絡してもらい、保健所や市町村と連携して支援を検討するシステムを2011年から運用しており、16年までの連絡内容を分析した。

 連絡件数は計3166人分。県内の年間出生数を踏まえると、全妊婦の2~4%程度が何らかのリスク要因を抱えていることになる。

 リスク要因の種類は「未婚」929件▽「精神科での治療が必要」670件▽「10代の妊娠」638件▽「夫・家族の支援不足」444件―の順に多い。このほか、母親の孤立や望まない妊娠などによって引き起こされる「子どもへの虐待が疑われる」は73件、虐待につながるリスクが高い「胎児・新生児への愛着が弱い」は143件、「望まない妊娠」は180件あった。複数の要因を挙げる人が多く、各要因ともおおむね年を追って増えるか横ばいだった。

 「子どもへの虐待が疑われる」「DV(ドメスティックバイオレンス)被害を受けている」「胎児・新生児への愛着が弱い」とされた人のいずれも2~3割は精神科での治療が必要だった。

 一方、妊婦健診を受けずに出産直前になって産科に駆け込む「飛び込み分娩(ぶんべん)」は12年の19件をピークに、その後は4~6件で落ち着いている。健診の無料化制度が浸透したことが影響しているとみられる。同医会の08年調査によると、飛び込み分娩の約4割で早産や胎児の死亡などが確認されており、その減少は胎児の命を守る上で好ましい傾向といえる。

 保健師らによる手厚い支援につなげるため、医療機関は妊産婦に対し、最寄りの市町村にも情報を提供してよいかどうかを尋ねている。しかし、同意を得られたのは約60%にとどまり、全てのケースで十分な支援に結び付いているわけではないことも判明した。

 中塚教授は「妊婦が積極的にサポートを求める気になるよう、医療機関が『私たちが全面的に支える』という姿勢を示すことが重要」と話している。