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汗ばんだ腕に残る「根性焼き」… 不良で目立つことが名誉と思っていた

1/14(日) 5:45配信

沖縄タイムス

◆青葉のキセキ-次代を歩む人たちへ-(1)第1部 立ち直り 健太、新たな一歩(上)

 ヘッドギアの下からのぞく鋭いまなざし。次の一歩を踏み出すたびに「キュッ、キュッ」と響くシューズの乾いた音、パンチを繰り出すたびに聞こえる息遣い。昨年12月9日、豊見城市の平仲ボクシングスクールジムでは少年院を2度経験した仲里健太(21)がプロテストに臨んでいた。

「健太、頑張れ!」

 「やり直そう。変わるべきは自分だ」。ボクシングを始めてから2年。反省と感謝の思いを巡らせながら、リングに上がった。

 プロテストは1ラウンド2分30秒、計2ラウンドのスパーリングを行い、ワンツーを基本とする攻撃と、ガードを中心とする防御の能力を審査。最初は緊張したが相手のジャブをよけると体が動き始め、積極的に攻勢に出た。

 「健太、頑張れ!」。リングの下でエールを送り続けたのは中学校の恩師、少年院の元教官、おじ、お世話になった幼なじみの父親…。窃盗や暴走行為を繰り返していた仲里の少年時代を知り、更生させようと見守ってきた大人たちが、わが子を応援するかのように必死に声援を飛ばしていた。

 結果は合格。ヘッドギアとグローブを外しながら、仲里は少し照れた表情を浮かべた。汗ばんだ腕には、中学時代にたばこの火を押し付けてできたやけどの痕「根性焼き」がいくつも残る。

 「これまでの自分は弱さに目を背け、熱心さや根性の意味を履き違えていた。人は絶対に変われる」

 平仲ジム2階の4畳半の部屋に住み込み、練習と勉強とアルバイトの日々を過ごしている。毎朝4時半に起床し、約10キロのロードワーク。朝練後は、午前10時から午後6時まで那覇市内の飲食店でバイト。その後は午後10時まで練習し、自炊もする。通信制高校にも通う。

 「やれることは何でもしたい。お世話になった人たちに恩返しをしなければ」。新たなスタートを切り、これまで支えられてきた人たちと握手を交わしながら前を見据えた。

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最終更新:1/19(金) 14:25
沖縄タイムス