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中日・岩瀬「人的補償」拒否騒動の球界への波紋

1/18(木) 16:34配信

東スポWeb

 中日・岩瀬仁紀投手兼コーチ(43)が、人的補償を拒否して引退騒動を起こしていたことが本紙昨報によって明らかになった17日、球界に波紋が広がった。FA移籍のシステムそのものを揺るがす事件とあって、NPBも大きな衝撃を受けた様子。当該球団である中日、日本ハムナインらも困惑しながら重い口を開いた。そして渦中の中日・西山和夫球団代表(69)の言い分とは――。

 中日にFA移籍した大野奨太捕手(31)の人的補償として、当初日本ハムは岩瀬を指名した。だが、岩瀬は「人的補償なら引退する」などと移籍を拒否。最終的に日本ハム側が“大人の対応”で人的補償から金銭補償に切り替え、岩瀬の移籍は実現しなかった。

 フリーエージェント規約第10条7項には「旧球団から指名された獲得球団の選手は、その指名による移籍を拒否することはできない。当該選手が、移籍を拒否した場合は、同選手は資格停止選手となり、旧球団への補償については本条第3項(2)号又は本条第4項(2)号(いずれも金銭での補償)を準用する」とある。日本ハム側が正当性を主張すれば、岩瀬は資格停止処分となったわけで、それを回避した日本ハム側の温情に中日と岩瀬は救われた格好だ。

 だが、結果的に「ゴネ得」がまかり通ってしまったことは事実であり、あしき前例となりかねない。しかも、それが昨季プロ野球新記録となる950試合登板を達成したレジェンド・岩瀬ということで、衝撃は大きかったようだ。

 中日のある選手は「岩瀬さんをプロテクトから外していたなんて意味が分からない。これだけのドラゴンズの功労者に対してありえない。失礼ですよ」と困惑しながら話すと、別の選手は「(兼任コーチの肩書をつけたことで)岩瀬さんや荒木さんはプロテクトから外されているかもという噂はチーム内にもあったけど、まさか本当に外していたとは…。(球団は)信じられない」と球団への不信感を口にした。

 一方、日本ハムの選手は「本当ですか…。(FAの仕組みは)難しい問題なので何か言えるわけではありませんが…。ルールがある以上守ってほしい? そうですね」とポツリ。別の選手は「びっくりだね。でも岩瀬さんだからできることだよね。俺らだったら行けと言われれば行くけど、岩瀬さんは引退するか現役を続けるかを悩む瀬戸際の方。本当に岩瀬さんだからできることだと思うよ」と、ベテラン投手の心情を察する声もあった。

 また、NPB関係者は「当事者からの報告を受けていないので、NPBの見解として話すことはできないが、仮に岩瀬選手が引退をちらつかせて人的補償による移籍を拒否していたとしたら確かに問題かもしれない」としながらも、すでに金銭補償で決着しているということもあって「もめるような事態になっていればNPB側としても何か対処しなければいけないが(報道を)見聞きする限り、そうではないようだ。当該球団(日本ハムと中日)からこれが問題として提起されず何も報告がない段階で、こちらが調査に動きだすというのも順序としてはおかしい。いずれにしても次の実行委員会(22日)で議題として出されるか。そうなってからのスタートになると思う」と、今後の展開を予想した。

 あるセ・リーグ球団のフロントは「日本ハムは常識では測れない球団。それでも人的補償は、水面下の根回しも含めてしっかりと準備しなければいけない案件で、中日はそうした根回しが足りなかったんじゃないのか」。さらには「これで岩瀬のモチベーションは確実になくなる。ベテランがそうなったら他の選手も“ウチの球団はどうなってんだ”となる。今季の中日は大変だろうね」とライバル球団の不手際に同情する声もあった。

 いずれにせよ、中日、日本ハムの両球団が沈黙を続け、今回の事件を「なかったこと」にしようとすれば、今後も同じケースが出てくる可能性がある。NPBは「ゴネ得」を許さないルール作りの必要に迫られている。

最終更新:1/18(木) 17:52
東スポWeb