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飛行機は雲に入るとなぜ揺れる? 意外と複雑な空の航路事情 安全のための工夫とは

1/21(日) 7:13配信

乗りものニュース

飛行機の揺れ、クルマがデコボコ道を走るようなもの?

 飛行機は飛行中に揺れることがあります。雲に入った場合など、「揺れていますが、飛行の安全性には問題ありません」といった機内アナウンスを耳にすることもしばしばあります。

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 飛行中の揺れはなぜ起こるのでしょうか。また、そのときパイロットやCA(キャビン・アテンダント)はどのように対応しているのでしょうか、ANA(全日空)に聞きました。

――飛行機が雲に入ると揺れることが多いようですが、これはなぜでしょうか?

 おっしゃるとおり、一般的に雲のなかや、雲のすぐ近くを飛ぶときには揺れることが多いです。特に、積乱雲(いわゆる入道雲など)は中心部に激しい上昇気流が、その周囲には強い下降気流が存在し、このなかでは雨粒が浮かんでいられるほどの気流が発生しているため、激しい揺れが予想されます。パイロットは飛行機に搭載された気象レーダーの情報をもとに、積乱雲中の雨粒を観測することで、その空域を避けて飛行しています。

 積乱雲を含む「積雲」系の雲は形状が盛り上がっていて、このなかを飛ぶと、クルマがデコボコ道を走るように揺れます。一方、平坦な形状をしている「層雲」系の雲は、上昇気流がないので、雲のなかを飛行しても大きな揺れにはなりません。

機体が揺れる気象状況、ほかには?

――ほかに、飛行中に機体が揺れるのはどのような場面があるのでしょうか。

 飛行機の揺れは空気の「渦」、つまり乱気流が存在する場合に起こります。お話した積乱雲中における乱気流を含め、おおむね6つに分類され、残り5つには次のようなものがあります。

●乱気流の種類
・「『山岳波』による乱気流」:気流が山脈を越えるときに起こる。山に近い空港の離着陸時に遭遇しやすい。
・「晴天乱気流」:地球上を西から東へと流れる「ジェット気流」付近で起こる。日本付近では特に、冬季の「寒帯前線ジェット気流」が非常に強く、11月から3月ころまでその影響を受ける。乱気流にともなって雲が発生していれば、雲の形の崩れが乱気流の存在を示してくれるが、晴天で雲が全くない状況でも発生することがあり、この場合は警戒できず乱気流に巻き込まれることがある。
・「前線面上の乱気流」:寒冷前線付近で発達する積雲系の雲のなかでは、低高度から雲頂高度(雲の最も高い部分)付近までの各層中に乱気流が発生する。一方、温暖前線付近には乱層雲(いわゆる雨雲)ができるが、このなかでは積乱雲ほど大きな揺れは起こらない。
・「人工の乱気流」:ボーイング747型機やボーイング777型機などの大きなジェット機は飛行中、後方に大きな乱気流を発生させる。これを航跡乱気流(ウェイク・タービュランス)と呼ぶ。通常は1、2分程度で消散するが、気層が安定しているような場合は5分以上も継続することがある。
・「低高度の乱気」:空港が山岳地帯や丘陵地帯にあったり、滑走路付近に格納庫があったりした場合、強風のなかで離着陸する際、乱気流に遭遇することがある。

――完全に揺れないフライトというのは難しいのでしょうか?

 空気を利用して飛行している限り、完全に揺れがないフライトというのは無理だと思います。お話した通り、パイロットは気象レーダーを用いて雨雲などを避け、なるべく揺れの少ないフライトを提供しています。

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